WeWork 470億ドル企業を崩落させた男のレビュー・感想・評価

WeWorkはスタートアップ向けにコワーキングスペースを運営する会社で、近年急成長を遂げたスタートアップとして一躍有名になった。ソフトバンクが巨額の投資をしたことでも大きなニュースとなった企業だが、相当に過大評価されていたのでは、という憶測も飛び交っていた。本作は、そんな企業の実態に迫る作品だ。
創業者のアダム・ニューマンの「シェアの思想」の危うさと矛盾、教祖のような立ち振る舞いで人々を惹きつけるそのカリスマ性を明らかにしていく。アダムは非常にスピーチが上手いが、言うことが抽象的で、記者の質問にストレートに答えない（どこかの国の政治家みたいだ）。iPhoneなどの「Ｉ（私）」ではなく「ＷＥ（私たち）」を大事にするという概念で、仲間を集め、だれもが平等な世界を作るという壮大なビジョンにのせられてしまった多くの人々の証言も満載。ソフトバンクの孫正義氏も重要な登場人物として登場する。孫氏の助言通りにクレイジーな道を突き進んだ男は、瞬く間に時代の寵児となり、瞬く間に転落していった。