配信開始日 2021年9月17日

社会から虐げられた女たちのレビュー・感想・評価

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3.5映画人メラニー・ロラン × 役者陣熱演 = 痛烈

2021年9月23日
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役者メラニー・ロランの監督、あるいは脚本・俳優などあらゆる点から語り手としての広義の映画人としての地位や評価を益々強固・決定的なものにする一作。創造性と伝えたいこと、伝えねばならないことに終わりはない。フランス語なんて英語以上に分からないから演技の良し悪しどうこう言えないけど、それでもやはり原作未読でもこの作品の世界に引き込まれ魅せられるような役者陣の力。
心かき乱される不穏さに、誰がまともか分からなくなる。女性の社会進出などがいくら進んだと言ってもやはりまだまだ絶えることのないミソジニー。キャッチーではないけど痛烈。『カッコーの巣の上で』のような入口から始終つきまとうように実に不愉快で、真に意味がある挑戦的題材。おかしいのだと見えない場所に追いやられ搾取/排除される女性性。あまりにも身勝手に振る舞う男どもの欲望のはけ口と、それを許してしまう男性絶対優位の男根社会における支配の構図。そんなトラウマの中でいかに生き抜くか、シスターフッドと共に。歴史モノに今日の問題を重ねるストーリーテリングは検閲逃れなどいつの時代も普遍的。それはつまりここで描かれることが残念ながら今日でもまだ有効だということ。
"らしい"邦題よりも、やはり原題のほうが結果的には本作のテーマ/メッセージがより多くの人に見られ届くのではないか、考えさせる契機になるのではないかと思った。本作でなくても広く使えることでなく、本作でしか、本作だからこそのタイトルが、作品の内容を婉曲的に結果より深く表すよう。根底、根っこの部分では他作品と重なり合い、共鳴していたとしても。これであなたも"見える人"。

P.S.なんて書きながら本作を見ているときもまだ今日のストレスがすごくて何も考えられず、本作の内容もまるで頭に入ってこなかった。

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