劇場公開日 2022年1月8日

「【”もう大丈夫だから・・”とさっちゃんは微笑んで言った。静謐で、空白の余韻に浸れ、観る側に様々な類推を自然にさせてくれる映画。さっちゃんの日々を淡々と映し出す中で、人間の善性を描いた作品でもある。】」春原さんのうた NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”もう大丈夫だから・・”とさっちゃんは微笑んで言った。静謐で、空白の余韻に浸れ、観る側に様々な類推を自然にさせてくれる映画。さっちゃんの日々を淡々と映し出す中で、人間の善性を描いた作品でもある。】

2022年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー 東直子さんの詩「転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー」にインスピレーションを与えられた杉田監督が奏でた、静謐で哀しみを湛えた若き女性の生きる日々を綴った映画。-

◆感想 <Caution!  内容に触れています。>

 ■さっちゃん(荒木知佳)は、いつも口角を上げて、微笑んでいるように見える。

 ・さっちゃんに宮崎に帰る事になった日高さんが、自分の住んでいたアパートを”住みやすいし、安いから・・”と家具と共に引き渡すシーンから物語は始まる。

 ・そして、様々な人がさっちゃんの周りに集まってくる。
 それは、さっちゃんが働く喫茶店で、賄いのスパゲティを食べている所を撮影しても良いですか、とお願いする大学生の男性であったり、
 葬式帰りの夫婦に大きな筆で、風林火山と書いてあげたり・・。
 きっと、さっちゃんの人柄であろう。
 彼女はそんな無理なお願いにキチンと応えてあげる。

 ・伯父さんは、さっちゃんの様子をアパートまで見に来る。
 - 突然、泣き出す伯父さんの姿・・。
   観る側は、さっちゃんの過去に何かあったのだろうと推測する。-

 ・叔母さんも、さっちゃんのアパートにやって来て、伯父さんと鉢合わせるが、咄嗟に押し入れに隠れ、リコーダーを吹き始める。
 - クスクス笑えるシーンであり、伯父さんと伯母さんがさっちゃんをさり気なく、心配している様も垣間見える。-

 ・日高さんの知り合いの女性が、さっちゃんのアパートに来た際に突然、涙を流すさっちゃん。

 ・夜、独り静かに筆を持ち、何かを書いているさっちゃんの姿。
 - そして、その後一瞬映し出される”転居先不明の判”が押された葉書。宛先人は春原雪と記載されている・・。-

<一片の詩から、紡ぎ出された静謐な作品。
 さっちゃんの身に起きた哀しき出来事をさりげなく暗示しつつも、詳細には触れず、さっちゃんの生活する日々を淡々と映し出す中で、人間の善性を描いた作品である。>

<2022年2月20日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU