「波に花束」砂粒をひろう Kさんの話していたこととさみしさについて ゑぎさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5波に花束

2022年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 23分の短編。冒頭は、砂浜に寄せる波。2011年の4月から約一年間にわたる、瀬尾夏美の知人のおばあさんKさんの記録。震災から1月後ぐらいの生々しい映像が記録されている。瀬尾が進行役として、ずっと映っており、また、彼女の絵とテキストが随所で挿入される。テキストは風景等の画面にオーバーラップしたかたちで映る。

 おばあさんは、震災約1カ月後の自宅の庭を見て、ちゃんと花が咲くのがエライ、と云う。ブルーベリーをいっぱいもらい、南瓜とサツマイモをごちそうになる。震災前の写真(自治体のパンフ?)を見ながら、在りし日の町を語り、震災後の何もない風景が、対比される。流された人も、流されなかった人もそれぞれに難しい、という言葉。

 ものすごい瓦礫の山の間の道を、竹ぼうきで掃く人のカットに震える。ロングショットから、ポン寄りで、少し寄ったカットに繋ぐセンスも映画的なのだ。最後は、波に花束。

ゑぎ