劇場公開日 2021年8月20日

  • 予告編を見る

「ダンス版ジークンドー」リル・バック ストリートから世界へ regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ダンス版ジークンドー

2021年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

興奮

被写体となるリル・バックの事は全く知らなかったが、とにかく驚いたのはその身体能力。特に強固な足の爪先を軸としたダンスパフォーマンスが、優雅で勇壮で実に圧巻。目ならぬ“爪先”は口ほどに物を言う。
ブルース・リーがあらゆる格闘技のエッセンスを抽出してジークンドーを生んだように、彼もまた、メンフィス発祥のストリート・ダンス“ジューキン”とクラシックバレエを融合させ、独自のダンススタイルを生んだ。そういえばリーもチャチャチャダンスが得意だった。
抗争・殺人事件が多発する町で、生きるために、そして人殺しをしない最良の手段がダンスだった。一言でサクセスストーリーと片付けられないバックボーンがある。
ドキュメンタリー映画の魅力は、たとえ被写体が全く知らない人物であっても、観る者を惹きつけることができる点にある。そういう意味で本作は、これ以上ないドキュメンタリーのお手本といえる。

regency