劇場公開日 2021年4月9日

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「何かを諦めた人間には伝わるはず」BLUE ブルー kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0何かを諦めた人間には伝わるはず

2021年4月22日
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鑑賞方法:映画館

予告編から受けた印象はボクサー2人と女子1人の三角関係がメインの話だった。でも実際はボクシングメイン。好きで好きでたまらないのに報われない男、才能に恵まれているのに続けることができなくなる男、軽い気持ちだったのに他者の思いを背負うようになっていく男。三者三様のボクサーを描いた群像劇だった。
何かを追い求めて、充実した日々を過ごして、でも諦めたことって、多くの人にあるんじゃないかと思う。そして諦めた後もしばらくくすぶってしまうことも。そんな人には少なからず響くんじゃないかと思う。そんなにかんたんに諦められるもんじゃない。
怪我でボクサーを引退した者が待ち受けているのは過酷な現実だ。そんな現実もドーンと目の前に広げられているんだけど、やっぱり夢を追う側に感情移入してしまう自分がいた。友人が後遺症が残るかもしれないって状況だとしても、自分も同じようにリングサイドで彼が勝つために声を上げてしまうだろう。後先なんて考えない。自分もそっち側だ。
だって1番盛り上がったのが柄本時生演じる楢崎の2戦目。瓜田とミット打ちしてた普段の練習を思い出して反撃するシーンに心を熱くしたんだから。しかもそれでも勝てなかった。なんてリアルな展開。でも、走るんだよ、次のために。彼の成長が唯一の希望だ。

kenshuchu