くれなずめのレビュー・感想・評価
全110件中、1~20件目を表示
立ち止まることの肯定。友の記憶と共同幻想
古い友に限らず、家族であれパートナーであれ、大切な人と豊かな時間をともに過ごした記憶はたとえ意識の奥底に沈んでいても、何かを見聞きするなどふとした拍子に思い出されたりするものだ。あるいは、大切な人が「ふっといなくなった」後でも、夢に出てきて何の違和感もなく昔と同じように会話したり笑いあったりということだってある。誰もが経験する大切な人の記憶をめぐるそんな心の動きを、何とも鮮やかな手法で作品化したのが松居大悟監督の「くれなずめ」だ。
友人の結婚披露宴で余興の「赤ふんダンス」を披露するため久しぶりに集まった高校時代の仲間たち。高校当時は帰宅部でさえない彼らだったが、文化祭の出し物を一緒にやったことで意気投合し、卒業後も毎年のように集まっていた。だが5年前にある重大なことが起き、それ以来会っていなかった彼らが久々の再会を果たしたのが、映画冒頭の披露宴会場での打ち合わせだ。
「老けたなあ」「全然変わらないっすね」という再会場面でありがちな言葉のやり取り。あるいは、飯豊まりえが演じる会場スタッフの言動。冒頭のシークエンスからさりげなく伏線がいくつもはられている。ただし、始まってからものの十数分で、この映画の仕掛けに関する種明かし――とまではいかないにしても、かなり明白な示唆――が吉尾(成田凌)の口から告げられる。
「暮れなずむ」からの造語であるタイトルは、昼から夜に移る狭間の時間である夕暮れ時に、先へ進まず敢えて立ち止まることを肯定する言葉として受け止めた。劇中で描かれることの大半は、披露宴と二次会の間にぽっかりと空いてしまった狭間の時間であると同時に、彼ら一人一人の回想を通じて次第に明らかになる、5年前の出来事にうまく折り合いをつけられずにいる人生の停滞期とも呼ぶべき現状だ。
彼らが過去と折り合いをつけられるように本作が用意した仕掛けは、ある種の共同幻想だ。現実の事象に寄せて解釈するなら、集団幻覚に近いだろうか。本作は松居監督によるオリジナル舞台劇の映画化だが、演劇にせよ映画にせよ、劇中の虚構を観客が真実であると信じるという意味で、劇や映画を観る行為もまた共同幻想のようなものかもしれない。
過去の悲劇を克服して前へ進めというポジティブな励ましは世にあふれている。だが無理して進まなくていい、人生に立ち止まる時期があっても、会えなくなった大切な人をゆっくり想う時間があってもいいじゃないか。「くれなずめ」はそんな別の選択肢を示してくれたように思う。
ばかができるほど愛おしい
ばかな6人組、しょーもない6人区なんだけど
事情を知ると、過去にもどった5人の表情に信じられないほど泣かされてしまった。
引きずったままでいさせてくれ、という言葉にグッときてしまった。
どうしようもなく馬鹿馬鹿しいことができる相手って本当に貴重。社会人になる前に、特に利害関係もなくできた仲間って本当に貴重だって大人になるとよくわかる。
たまらなく友達に会いたくなる映画。
前田敦子のキレキャラもいい
2023年11月4日
映画 #くれなずめ (2021年)鑑賞
友人の結婚式で久々に再会したアラサー男子6人組が、二次会までの中途半端な時間を高校時代の思い出とともに当時と変わらぬノリでバカ騒ぎして過ごす
アラサーもまだまだ青春だなと感じさせてくれる映画です
あまりハマらなかった。 男子学生の会話って自然ならもうちょっとくだ...
あまりハマらなかった。
男子学生の会話って自然ならもうちょっとくだらなくて面白いのが多いかと思ったけど、誰かが作ったセリフを演じているからだろうかあまり笑えなかった。
それが陽キャではなさそうな彼らのノリなのだろうか。
亡き友と再び過ごす時間、だんだん鬱陶しくなってくるところ木更津キャッツアイらしさを思い出した。
自分とは違う人種の集まりで苦行!!
バカ騒ぎと中身の無い会話ばかりで、自分とは違う人種の集まりで苦行でした。女性に観てもらってモテたくて作っているのが伝わってきました。中盤、ミキエ(前田敦子)のキレ具合が良かったです。終盤まで観ても、特にストーリーが無かったです。
観るのをやめても後悔しません
のっけから何分?
延々と脈絡なく登場人物たちの悪ふざけ
若かった頃、男子ってこうよなぁと言わんばかりのグダグダ演出
ホントにしんどい。
観るのをやめようと思ったらやめてもいいと思う。
破天荒な展開があるのかと勝手に想像した自分に反省
なんせ序盤に成田凌は死んでるのか?と匂わせられたもんだから
だから何!?
みんないい俳優たちなのにもったいない
彼らもこれが仕事なんだ
しばらく気がつかなくて
まごついたが、わかってしまえばいろいろ腑に落ちる。
終盤はちょっと許容できないところまで行ってしまった感じ、まさに披露宴の余興で赤フンダンスされたみたいな微妙な気持ちになる。そこまで織り込み済みなら凄いけど。
二次会ならギリギリありかな。
アマプラにて視聴
舞台劇を映画化とのことで、舞台演出の要素が強い印象。暗転、明転を連想させる時系列が変わる場面転換、人物にスポットライトが当たる演出、少しオーバーな演技、どれも新鮮で演劇見に行きたいなと思った。また、お笑い芸人のコントの規模を大きくして笑いあり涙ありにしたような雰囲気も感じた。私の場合は構成が複雑で伏線を張っているような作品は頭が疲れるので、そういった考えるのが苦手な方は頭が冴えてる時に視聴して下さい。
男子ノリ演技が作ってない感が逆効果に
2021年劇場(配信)鑑賞48本目 駄作 25点
個人的に2021年の邦画で5本の指に入るレベルで賛否が分かれる作品。
当方の感想としては賛否の否側の人間で、正直あの内輪の仲の良さがなんというか、作り物に見せないように足掻いたあまり逆により一層不自然というか、それなりに考えて演者も制作もその空気感というか、雰囲気を作ったんだろうけどこれがリアルに見せた不自然なリアルに終始不愉快でした。
ラストの演出は言うまでもなく吐き気しました。完全に引きました。
成田凌が好きで、彼のどの作品をやらせてもいい意味で彼のカレが残っているのが好きで、それが今作はその作りすぎた空気感のせいで台無しでした。
舞台劇だけで良かったような気が…
舞台劇の映画化というのは、個人的に、少し苦手です。
リアルな日常が、急にドラマチックになったり、
観客に語りかけてくるような演出があったり、そういうシーンが
出てくるとさめてしまう。
これは、どうかな。そうなりませんように、と思ってみたのですが
出てきましたね。フェニックスが降誕。そして、心臓w
それまでは、中だるみはあるものの、
まあまあ面白いかなと思ってたんですが、少し残念です。
男子の青春物語。時代は変わっても、根っこは同じ。
ストーリーは好きですよ。普通の演出で見たかった。
成仏できないんじゃなくて。
みんなが忘れられないだけ。途中いきなりぶっ飛んだなーと思ったけど、あれをみんながやりたかったんだね。
記憶を書き換えるって、あれで気はすんだのだろうか。
いたらそんなに意識はしないけど、いなくなると思い出す。
それが答えだ 懐かしかった。
白黒女と夕焼け男
男は恋愛でも、友人関係でも意外と過去を振り返えり、ネイネチしがちだ
メイン5人は悲しみの感情をずっとあいまいなものにしてきたせいで、5年たった今も、よしおが近くにいると感じてしまう
女の前田敦子は、結婚式後に男5人の前で現実をたたきつける
友人の死を受け入れて、思いっきり泣き、前に進む女は
現在すでに幸せになっており、幸せになれよと言う過去のよしおにキレる
5人は、よしおを素晴らしい過去にするため、最後の会話をやりなおし、しっかりとさよならを言う
松尾監督は自身の経験をもとにこの映画を撮ったというが、男松尾監督もやはり主人公達同様、この映画を作ることで、くれなずむ状態から真っ黒な夜に進もうとしてる
白黒はっきりつけて生きるのは難しいが、毎日の出会いを大切にし、しっかりとさよならを言って別れることを意識してくれなずめたら最高だ
追記
仙台での屋台のシーン、風俗の会話とおでんの会話をおりまぜて、シリアスと笑のシーンは完璧にくれなずんでいると感じた
若原と高良の居酒屋のシーンについて、笑いの中にシリアスなテーマを描きたいと発言するメタ構造は最高だが、正直コメディの部分は仙台の屋台以外あまり笑えませんでした
結構好きです!
劇場公開の時は全くノーマーク、というか東海地区で上映してたんでしょうか?
amazon primeで「成田凌さん出てるんだ!高良健吾さん、藤原季節さん、浜野謙太さん、若葉竜也さんも!結構ゴージャスな俳優満載!」くらいの軽い気持ちで鑑賞。
なんだか思わぬ拾い物した気分です。結構好きだな〜この映画。やっぱり成田凌さん、外しませんね〜
吉尾の父親から訃報を受け取ったそれぞれの気持ちの描写が見事でした。特にスーパーの前で泣き崩れた浜野さん、警官さえ追い返す藤原さんの迫力、(うざい)先輩たちにたてつく若葉さん、高良さん、涙が出てしまいました。
自分自身、大学の友人の訃報を突然受け取って何十年ぶり(卒業以来?)に会った旧友たちとお通夜のあとの酒盛りで盛り上がったことを思い出しました。
この映画の中の彼らとは違って引きずってはないものの、旧友たちを引き合わせてくれた彼に感謝の気持ちでいっぱいでした。(ちなみにその後その時のメンバーで毎年忘年会が続いています。もうこの集まりのきっかけはなんだっけ状態の飲み会になっていますが‥)
ファンタジーなのかコメディなのかわかりませんがそれぞれの役者さんたちの力量を感じさせてくれる作品だと思います。あっちゃんも意外に(失礼)よかったのも拾い物かと。
全110件中、1~20件目を表示