映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ : インタビュー

2021年11月4日更新

井ノ原快彦がいま抱く夢――「映画 すみっコぐらし」と重ねた自分らしさとは

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井ノ原快彦が、「映画 すみっコぐらし」の第2弾「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」で前作に引き続きナレーションを担当。すみっコたちに寄り添ったあたたかな語りで、観客を映画の世界へと誘ってくれる。今回のテーマとなるのは、“夢”。井ノ原は「それぞれの夢を抱いているすみっコたちを見ていると、周りを気にせず、自分らしい夢を持つことが大事なんだと改めて考えさせられました」と、前作同様に大人の心にもじんわりと響く内容になっていると話す。井ノ原がいま、抱く夢とは。(取材・文/成田おり枝)

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■前作が大ヒット! 友だちに「『うかつにも泣いちゃった』と言われました」

本作は、サンエックスの人気キャラクターを劇場アニメ化した第2弾。前作「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」は、「大人も泣ける作品」とSNSを中心に口コミが広がり、観客動員122万人のスマッシュヒットを記録した。井ノ原は、「やっぱりみんな、かわいいものが好きなんだなと思います。丸くてぷにぷにしたものが動くって、無条件でかわいいですよね」とヒットの理由を分析する。

キャラクターのかわいらしさだけではなく、「言葉は話さないけれど、彼らの背景がしっかりと描かれていて、奥深いストーリーや愛着を感じる」と大人たちも引き寄せられる味わい深さがあると続ける。

「映画を製作している人たちと接していると、子ども向けの映画として作っていないというか、『自分たちにも、すみっコたちみたいなところがあるよね』という思いを込めていたり、『自分たちも心を動かされる物語だ』と思いながら映画作りしているんだなとすごく感じる。僕自身、前作を見た友だちに『うかつにも泣いちゃった』『考えさせられるような深い部分もあって、あなどれない』と言われることも多くて。製作陣の思いがしっかりと乗っているからこそ、幅広い世代の方々に訴えかけるものになったんじゃないかな」と思いを巡らせる。ナレーションを吹き込む際には、「すみっコたちにはセリフや表情がほとんどないので、観客がいろいろと想像できる良さがある。僕はそれこそ“すみっこ”で、邪魔にならないようにナレーションすることが本シリーズのテーマ」だという。

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■「自分の時間を楽しんで、幸せになることがいまの夢」

第2弾も、その魅力はもちろん健在だ。監督を「夏目友人帳」シリーズの大森貴弘、脚本を「けいおん!」シリーズの吉田玲子が務め、アニメーション製作は第1作と同様にファンワークスが担当した。舞台となるのは、すみっコたちが暮らす町。魔法使いの5人きょうだいが舞い降り、彼らと交流をするうちにすみっコたちのかなえたい夢や、自分らしさが明らかになっていく。井ノ原は、本作を通して“夢”について大いに考えさせられたという。

「子どもの“なりたい職業ランキング”ってありますよね。子どもの頃って、『そういった職業から、将来なりたいものを選ばないといけないのかな』『大人が期待しているのは、そういう職業なんだろうな』と思ったりする。でもすみっコたちは、周りを見て自分の夢を決めていないんです。それぞれの夢を抱いているすみっコたちを見ていると、自分らしい夢を持っていれば十分なんだなと思いました」としみじみ。「また大人になっていくと、どこが夢のゴールなのかわからなくなって、『これが本当に自分のやりたかったことなのかな』と感じたりする人も多いと思うんです。そんななか、すみっコたちは身近にある大切なものから目を離さずに、しっかりと自分の夢を考えながら日々を過ごしている。常に自分の夢や、自分のやりたいことを考えていくことの大切さを改めて学んだ気がしています」と目尻を下げる。

井ノ原は、どのように自身の夢と向き合ってきたのだろうか。「子どもの頃に『有名人になりたい』と父親に話したら、『悪いことをしても有名になれるけれど、正当な道で有名にならなきゃいけない。芸能人かな』と言われて(笑)。『それならばどうしたらいいんだろう、歌は好きだな。でも人前で踊ったり、お芝居でキスしたりとかは絶対にできないな』と思っていて」と笑顔で述懐。「でもやってみたら、踊りもどんどん好きになっていったし、自分では考えられなかったようなことができるようになっていく。夢の持つ力って、すごいなと思うんです」

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道の途中では「自分の夢がなんなのか、見失うこともあった」とも。「ジャニーズに入れた、雑誌に載った、街で声をかけられるようになった……『ここまで来られたら、もういいかな』と思ったとしても、周りを見ると頑張っている人がたくさんいる。いろいろな人と出会って、『あの人みたいになりたい』と衝撃を受けたり、『いや、周りは関係ない。自分がなにをやりたいのか見つめ直そう』と考える時期もあって」と振り返るなか、いま、確実に井ノ原の胸にあるのは「サービス精神を持って、いろいろな人を楽しませたい」という情熱だ。

井ノ原は、「そのためには、自分が幸せでいることが大事なんだと思う」とにっこり。「『帰ったら冷たいビールを飲もう、どんなコップに入れようかな。いや缶のままいくか?』と考えている時間が本当に幸せ(笑)。自分が幸せでいることが、『もっと楽しんでもらえるためにはどうすればいいんだろう』と考えることに繋がっていくと思うんです。だからこそ自分の時間を楽しんで、幸せになることがいまの夢かな。そして、ひとりでも多くの人に楽しんでもらえる時間を作っていきたい。そう思いながら日々、ビールを飲んでいます」と大きな笑顔を見せる。

■V6への思い――「誰ひとりとして『僕がいないくても大丈夫でしょう』とは思っていない」

くっ付き合って眠ったり、お互いを思いやったりと、すみっコたちを見ていると「仲間っていいものだな」と感じる人も多いはず。井ノ原は、1995年のデビューから26年間、V6のメンバーたちとかけがえのない日々を過ごしてきた。井ノ原は「認め合い、補い合ってきた」とV6への思いを口にする。

「すみっコたちは、仲間と集まって、補い合って一人前になっているようなところもある。僕たちもみんな、それぞれでしっかりと立っている人たちだけど、誰ひとりとして『僕がいなくても大丈夫でしょう』とは思っていないです。認め合って、補い合って、気持ちを1つにして足並みを揃えてきた」とメンバーへの思いを語る。

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26年間の歴史においては、「僕たち6人で、『今年はこうしよう』など目標や夢について話し合ったことって1度もないんですよ」と告白。「話してきたのは、『負けないようにしようぜ』とか『ガンガン行こうぜ』とか気持ちの面だけ」なのだとか。「みんな、僕の失態を忘れてくれる」と笑い、「“失敗”は忘れずに糧にしつつも、“失態”は忘れてくれる。そうやって次に進んで行こうとしてくれるから、続けることができた。本当にありがたいことですね」と心を込めていた。

映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」は、11月5日に全国公開。

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