劇場公開日 2020年11月20日

「今年は「市民ケーン」公開されてから80周年」Mank マンク ショコワイさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0今年は「市民ケーン」公開されてから80周年

2021年4月4日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

1 著名な脚本家・通称マンクの「市民ケーン」の創作や30年代におけるハリウッドでの活動の一端を描く。

2 映画界の裏面史モノとして期待して観たが、やや期待外れであった。良くなかったのは①メインストーリーが平板で弱いこと②回想が効果的ではないことに尽きる。

3 メインストーリーは「市民ケーン」の創作過程。冒頭の執筆のキックオフ場面やその直前に起きたハプニングの場面は《つかみはok》で良い感じでした。
しかし、その後は執筆の進捗が語られても産みの苦しみなどオリジナル脚本特有の場面が描かれていません。また、クレジットタイトルにおける名前の扱いについてオーソン・ウェルズとの確執、モデルとなったメディア側からの強烈な圧力などの食い付きが弱い。火星人襲撃のラジオドラマを実況中継風に流すなど、常に話題性のあるドラマづくりをしてきたウェルズ。彼が関わった「市民ケーン」の完成稿とマンクの初稿との違いも知りたかった。

4 メインストリーの途中で、回想という字幕を出してからフラッシュバックする場面が何度も出てきます。大不況時代での映画産業の状況や映画作りの舞台裏が興味深いところ。また、共和党と民主党の選挙戦や上流階級の食事会のシ−ンが描かれ、マンクの思想的立ち位置や内心の鬱積が示されました。こうした点が「市民ケーン」の底に流れる批判的精神の源になったのかもしれません。いづれにしても、回想シーンは面的にまとめて挿入したほうがマンクの人物像を語る上で効果的だったと思う。

5 全編を通じ、台詞回しやシ−ンのテンポがはやく現代的。モノクロ映画にしたのなら、台詞回しや動きをもう少し落ち着かせスタンダードな作りにした方が完成度があがったと思います。

ショコワイ