劇場公開日 2021年1月22日

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「権力はなぜ人を腐敗させるのか」KCIA 南山の部長たち 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0権力はなぜ人を腐敗させるのか

2021年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

権力を握ると人が変わるのは歴史の必然なのか。韓国の中央情報部局長が現職の朴正煕大統領を暗殺した事件をもとにしたこの作品、かつて同士としてクーデターを起こした大統領と主人公の中央情報部部長は、やがて学生運動の弾圧の是非を巡って争う関係になる。自らの保身ばかり考える取り巻きと同様に、大統領にはかつて国を変えると志して、腐敗と旧悪の一掃を唱えてクーデターを起こした。しかし、長く権力の座に居座り、自らが腐敗と旧悪となってしまう。少なくとも主人公にはそう思えた。国を想う気持ちを忘れた独裁者は国家にとって裏切り者、だから主人公は職責として大統領を暗殺した。歴史は繰り返すというが、高い志を掲げて権力の座についたものもいつか腐敗する、歴史はその繰り返しで様々な人間が実権を握ってきた。
映画は、主人公のキムが国家の行く末を憂う人物として描く。彼の行ったことは暗殺であり、非合法な手段である。しかし、この映画は暗殺の是非は問わない。むしろ、この暗殺行為は歴史の歯車だったのだという感慨すら湧く。

杉本穂高