劇場公開日 2021年5月7日

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「名匠が最期に描いた家族の肖像」大綱引の恋 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0名匠が最期に描いた家族の肖像

2021年5月28日
PCから投稿

普段あまり自ら進んで鑑賞しないタイプの映画ではあるが、この新型コロナの影響でちょっとした国内旅行もままならない中、このご当地ムービーを覗いてみたい気持ちがどうしようもなく高まった。恥ずかしながら川内市の大綱引きという行事について初めて知り、そのクライマックスの迫力には「こうでなきゃ」という充実感が込み上げた。その前後は、とにかくシリアスからコミカルまで様々なドラマが起こるので、これを楽しめるかどうかはひとえに観客側の受け取り方次第。それにも増して私は、このご当地映画の裏テーマともいうべき「日の当たらないところで必死に踏ん張る人」という視点に心惹かれた。この世の中には人知れず地道に努力する人々が少なからず存在する。また彼らの頑張る姿を人は意外としっかり見つめているもの。思えば、佐々部清監督作品はいつもそういったところにきちんと視線を投げかけていたように思う。これが遺作となった事が惜しまれる。

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牛津厚信