「戦車の重量感について」ガールズ&パンツァー 最終章 第3話 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5戦車の重量感について

2021年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ガルパン最終章シリーズの難点は、勝負の途中で次のエピソードに続く、となってしまう点だ。3か月くらいのスパンでどんどん連続公開してくれればそういう構成でもあまり問題にならないかもしれないが、1年に1本の公開ペースなので、前回どんな展開だったのかを思い出すのがちょっと大変だ。
今回の3話は密林での知波単学園戦の続きからだ。相変わらず音のこだわりと迫力とスピード感を併せ持った戦車バトルは見ごたえたっぷりだ。水島努監督は最近、バトル中にあまり音楽を使わないようになっているのだけど、それで緊張感ある戦いをしっかり作れている。
とはいえ、密林での戦いの描写には若干の難点も。密林が舞台でも戦車は平地にようにスイスイと移動していく。それが戦車の重量感を失わせているようにも思えた。背景に木があっても減速せずにおかまいなしに進んでしまう。あの緻密で写実感ある背景に合わせた戦車の動きを作るのはほとんど不可能に近いとは思うが。音の良い劇場で観られれば、そこもカバーできていたのかもしれないけど、あいにく僕が見た劇場はちょっとボリュームも絞り気味だった。
ただ、ガルパンの戦車戦の面白さは、重量感ある戦車がそんなアクロバティックな動きをするのかという驚きにあると思うので、重量感は大事だと思うのだ。密林という舞台は難しかったと思うので、次の戦いではまた重量感あふれる戦いを期待したい。

杉本穂高