劇場公開日 2021年1月16日

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「極めて地味ですが、私は好きです。」ウォーデン 消えた死刑囚 よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5極めて地味ですが、私は好きです。

2021年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

宗教革命前の1966年。刑務所移転の際に死刑囚が失踪したことによる、署長の苦悩を描く物語。

イラン映画の鑑賞は3作目です。前2作は想像以上の良作だったので期待をしての鑑賞だったのですが・・・想像を大きく超える良作でした。

死刑囚の捜索がメインストーリーですが、署長の苦悩を描く人間ドラマです。
出世に狂喜乱舞し、失踪に焦り、そして死刑囚の人となりを知り苦悩を深めていきます。少女を問い詰めるシーン等は署長の焦りを現したシーンで、緊迫感のある印象的なシーンでした。

また、細かい演技が素晴らしかった。ちょっとした仕草、顔の表情、水溜まりを飛び越えるシーン等々、いかにもありそうでとても感心しました。

極めて地味な映画ですから賛否が出やすい作品だと思いますが、私は高く評価出来る作品だと感じました。

映画自体の話ではありませんが、イラン映画と宗教に感じた事。
この映画は、イスラム革命が行われる前のパフラヴィー朝時代の話で、今のイランからすれば世俗的な社会。だから登場した社会福祉士の女性は、ヒジャブすら巻いていません。(逆に、死刑囚の家族は巻いていた)
当時はの社会情勢からすればあり得ることなのでしょうが、それを戒律が厳しい現代の映画で表現出来るのは素晴らしいことだと思います。「イラン映画侮れず」です。

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よし