劇場公開日 2021年1月8日

「リメイク、というよりもローカライズに近い作品だが、それだけに日本版ならではの味付けが面白い一作。」おとなの事情 スマホをのぞいたら yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リメイク、というよりもローカライズに近い作品だが、それだけに日本版ならではの味付けが面白い一作。

2021年2月5日
PCから投稿

イタリア映画『おとなの事情』(2016)のリメイク作品。光野道夫監督としては26年ぶりの新作映画ですが、演出は手堅く、さらに東山紀之、鈴木保奈美、常盤貴子らのさすがの演技力もあり、ほとんど室内劇でありながら、全く退屈さを感じさせない展開です。

冒頭の映像の意味、なぜ立場や年齢の異なる彼らが友人なのか、といった引っかかりを提示しつつ、スマートフォンを駆使した、きわどいゲームが展開していきます。登場人物の年齢や関係性は、底本となった映画とかなりよく似ているものの、彼らの繋がりの発端、といった根本的な設定はいくつか改変されています。物語前半では、予告編が示したような「他者に私的な情報を暴露する」際の混乱が、半ば予想通りといった形で展開します。その混乱が加速して…、となると、なんかギャスパー・ノエ監督『クライマックス』のような、阿鼻叫喚の展開を予期して、ちょっとワクワクしてしまうのですが、そこはさすがにG指定。なのでそこまでひどいことにはなりません。ただ家族連れで鑑賞したなら、補足説明が難しい場面もあるかも…。

舞台はおしゃれなレストラン内で展開するため、照明は暖かく、一見穏やかな映像なのですが、それだけに時折挿入される暗がりが、人物の心のざわめきをより視覚的に一層強調する効果を与えています。

yui