劇場公開日 2020年6月26日

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「【モヤモヤが止まらない!ある意味リアルな映画】」タイムリミット 見知らぬ影 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0【モヤモヤが止まらない!ある意味リアルな映画】

2021年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

・2018年公開のドイツのアクション・スリラー映画。
・2人の子供と奥さんを持つ父親であり、不動産会社の幹部のしごとをしている主人公カール。彼が姉と弟を車で学校に送り届けている中で、正体不明の男から「お前たちのおしりの下に爆弾が仕掛けてある。立ち上がっても爆発するし、遠隔操作でも爆発させることができる。嫌なら自分と奥さんの口座の全財産と会社のお金を俺に振り込め」という趣旨の電話がかかってくる。混乱しながら同僚に車で相談しにいくと、同僚も同じ状況。そこで同僚の車が爆発し、息子はその破片でかなりの出血を追うけがをする。それでも「誰にも真実を話すことなく金を用意しろ」という犯人の要求から警察や妻にまで疑いをかけはじめられるカール。そして車からも降りれない。絶体絶命のピンチ という大枠ストーリー。

[お薦めのポイント]
・モヤモヤこそがこの映画のポイント?!

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[物語]
・この映画は、「混乱とモヤモヤ」が強い物語の流れこそがお勧めすべきポイントかなぁと思いました。いや、終始モヤモヤするんですよ。笑 親父さんの主人公カールに対する子供たちの対応・反応や犯人は一体何をしたいんだ⁈という目的の不明瞭さ、察しの悪い周囲…とにかくモヤモヤします。しかし、実はそれこそが日常生活そのものを体現しているのではないかと。映画という仮想の物語ではどこか予定調和と言いますか、「綺麗に」「想定通りに」話が進んでいきますし、キャラクターの行動は基本的に良いも悪いも「想定」できますよね。ただ、この物語はそうはいかない。「なんでそうするの?おバカなの⁈」「あり得ない!」とすら思います。ただ、現実の世界に置き換えてみると、こんなパニック状態になった場合、よくある映画通りに現実が進むと思いますか?よく考えたら、そんなうまくは進まないと私は思ったんですよね。人間が混乱した時にやってしまいそうな本当の行動、それこそがリアリティなのではないか、と。故に、映画で観れる「であろうと想像していた物語や行動」とのギャップが激しくなる=モヤモヤが強くなる=でもそれが本当のリアリティ、みたいに勝手ながら解釈しました。笑

[演出]
・基本車の中の映像ばかりなので、車の窓の外からカールを撮影したカットなどありましたが、これが物語の謎とマッチして、「もしやカールは二重人格⁈」と勝手に妄想してしまいました。いや、そんなことを匂合わせたいとは監督さんも意識されていないでしょうし、個人的な勝手な妄想です。笑 ただ、車中で電話で会話するカールとおびえる子供たちを基本に約2時間、しっかり観れる映画に演出されていたと思います。少しばかり映画[ギルティ]の雰囲気を感じさせてくれました。

[映像]
・特に際立って思うことはありませんでした。

[音楽]
・特に際立って思うことはありませんでした。

[演技・配役]
・知らない俳優さんだらけでした。カール役のヴォータン・ヴィルケ・メーリングさんは「人間の弱さ」みたいなものをしっかりと演じてくださっていて、役柄的に終始モヤモヤはするんですけど、これこそがリアルな反応!と感じさせていただきました。

[全体]
・カールが行っているビジネスの構造もよくわからなかったので、不明瞭な部分も多々ありましたが、それは大きく物語を邪魔することなく骨子部分を愉しめました。ただ、オチと言いますか、事件の真相とラストの運びは若干の無理やりさを感じてしまいましたが。大風呂敷な状況を展開した物語構成なのでまとめ方としては致し方なしかもしれません。それよりも、普通の映画じゃ感じられない物語の途中のモヤモヤ感を是非体験してみていただきたいです。映画をアトラクションととらえた場合、予定調和過ぎて「うんうん」となると、気持ちはよいのですが、心は全く反応しません。それに比べると、モヤモヤモヤモヤ…と心を動かしてくれる。つまりアトラクションとしてしっかり機能している映画、という見方もできるかもしれません。ありがとうございました。

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3104arata