「前作から一気にトーンダウン。退屈で悪趣味なアリ・アスター監督2作目。」ミッドサマー ディレクターズカット版 Anarchistさんの映画レビュー(感想・評価)
前作から一気にトーンダウン。退屈で悪趣味なアリ・アスター監督2作目。
家には劇場版しかないので今回ディレクターズカット版を観るために久しぶりに劇場に足を運んだ。IMAXの映像体験はかなり良かった。
アリ・アスター監督作品はファンが分かれることが多い。どの作品も何回も劇場で鑑賞してるので気づくが「ヘレディタリー」は中高年の男女でホラー映画好きな人が多く、「ボーはおそれている」は若い男性が中心、そしてこの作品は圧倒的に若い女性が一人で鑑賞していることが多い。なかなか興味深い。
そんなわけで今作についてだが
わたしの評価は低い。
ディレクターズカット版はあまりに長くてテンポが悪かった。フローレンス・ピューが素晴らしい演技であることを抜きにすればあまりに説明くさくて長ったらしくて退屈だ。別にそのシーン無くても物語は成立するし寧ろ劇場版の方が遥かにテンポが良かったという出来でこの作品が大好きだ!という人達へのファンサービスと言ったところだろう。
「ヘレディタリー」がきちんとホラー映画としての見応えもあって考察したくなる奥深さがあったのに対して今作は「ボーはおそれている」に続いていくひたすら下品で悪趣味な物語と描写が続く。
アリ・アスターは精神的に弱っている人間を何かと痛ぶったり主役にして弄るのが好きなようだ。その趣味は早くもこの監督2作目で見てる人を完全に選ぶ。私ははっきりとNOと言いたい。精神的に、肉体的に弱ってる人を話のネタにするのもそろそろいい加減にしろと思う。
要するにこの映画は主人公が周りを犠牲にしてまで自死を肯定する場所に自分の「居場所」を見つける話だが何のカタルシスも無い上に悪趣味で退屈だ。映画の主人公ダニーがやってることは周りを犠牲にする最低最悪の暴走であってストッパーがいない。破滅の美学を売りにするのにカルト、ヌード、セックス、カニバリズム、ドラッグ、障害者をわざわざ使うあたり悪趣味だなぁと感じるし悪い言い方をすればそれをぶち込んでおけば何かと話題になるでしょというチープさを感じる。ババアやジジイのヌードを見せたがるのは面白いと思ってるのだろうか?あちこちに書かれた下品なイラストも笑いを誘ってる?カルト教団にセックスはつきものだ!というくだらん映画。聖なる木に小便されて教団の人間が泣き喚いてるシーンだけは笑える。エンディングテーマはとても良い。これだけは言っておきたい。フローレンス・ピューは素晴らしい演技をしている。
