水を抱く女

劇場公開日:

水を抱く女

解説

「東ベルリンから来た女」のクリスティアン・ペッツォルトが監督・脚本を手がけ、“水の精・ウンディーネ”の神話をモチーフに描いた恋愛ドラマ。ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネは、アレクサンダー広場に隣接するアパートで暮らしながら博物館でガイドとして働いている。恋人ヨハネスが別の女性に心変わりし悲嘆に暮れる彼女の前に、愛情深い潜水作業員クリストフが現れる。2人は強く惹かれ合い、新たな愛を大切に育んでいく。やがて、ウンディーネが何かから必死に逃げようとしているような違和感をクリストフが感じ取ったことをきっかけに、彼女は自分の宿命に直面することになる。「婚約者の友人」のパウラ・ベーアが神秘的なウンディーネを妖艶に演じ、2020年・第70回ベルリン国際映画祭で女優賞を受賞。クリストフ役に「希望の灯り」のフランツ・ロゴフスキ。

2020年製作/90分/G/ドイツ・フランス合作
原題:Undine
配給:彩プロ
劇場公開日:2021年3月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第70回 ベルリン国際映画祭(2020年)

受賞

最優秀女優賞(銀熊賞) パウラ・ベーア

出品

コンペティション部門 出品作品 クリスティアン・ペッツォルト
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(C)SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinema 2020

映画レビュー

3.5美しくも儚い奇想譚

2021年3月25日
PCから投稿

美しくも儚い白昼夢に包まれているかのような味わいだ。ぺツォール監督の語り口が他のどの映画監督とも異なる感性に満ちているのは『東ベルリンから来た女』をはじめ数々の作品からお馴染みだが、いにしえより語り継がれる「ウンディーネ伝説」に材をとったと思しき本作も、ぺツォールが紡ぐと一味も二味も違う現代的な奇想譚へと生まれ変わる。まずもってベルリンという大都会で暮らすヒロインの日常は、その序盤、果たしてこれからどうやって水と結びついていくのか露ほども想像が及ばないものだ。そこに出会いが訪れる。ハッとするほどの鮮烈な描写と共に。さらには、ベルリンと郊外とをつなぐ列車での距離移動と、水深く潜っていく垂直移動。都市発展についての解説が浮き彫りにする時の移動。これら3つの絶えざる流れが不可思議に渦を巻くところにこそ、現代のウンディーネは降臨するのだろう。小品ながらその余韻がずっと胸のどこかに留まり続けている。

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牛津厚信

3.5現代のベルリンが精霊物語の舞台になった理由

2021年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

水の精霊ウンディーネには湖や泉に住んでいて、本来性別はないが主に女性の姿を借りて現世に現れ、男性と恋に落ちて結婚もするけれど、恐ろしい代償を伴う。1、夫に罵倒されると水に帰ってしまう。2、夫が不倫した場合は夫を殺さなければならない。3、水に帰ったら魂を失う、等々。現代のベルリンを伝説の舞台に選んだ本作は、所々で精霊にまつわる決まり事を踏襲しているが、ファンタジー色はほぼ皆無。「東ベルリンから来た女」でもそうだったように、監督のクリスティアン・ペッフォルトは、抗えない運命に引きずられる男女の関係を、ドイツの暗く湿った風景の中で描いていく。キーになるのは、この悲しい恋の物語と、東西統合と共に発展を遂げた代わりに、古典的で美しいカルチャーを捨て去ったベルリンとを対比させつつ描写している点。ヒロインの職業を都市開発を研究する歴史家に設定しているのは象徴的だ。古き良きジャーマン文化と現代に現れた精霊を繋げることで、本作は凡庸なリアル・ファンタジーに陥ることなく、観終わっても忘れ難い一部ホラーな異色ラブロマンスとして観客の脳裏に刻まれることになった。

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清藤秀人

3.5ちょっと変わったスリラー

2023年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

パウラベーア扮するベルリンの歴史学者ウンディーネヴィブーはカフェでヤコブマッツェンツ扮するヨハネスに別れを告げられた。水槽が割れる事故をきっかけにフランツロゴフスキ扮する潜水夫のクリストフと知り合った。

極めて淡々と展開していったね。ヨハネスが舞い戻って来てもブレなかったね。なんかみじめだな。でもクリストフも恐いね。と思ったらこれはスリラーか。ちょっと変わった内容だったな。

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重

3.5タイトルは原題がいい

2022年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

別れを拒絶した女性の苛立ちを埋めるように突如現れた男性。ファンタジーな要素がいいアクセントになっていて、そのひとつに原題の主人公の女性の名前があるので、タイトルはそのままの方が繫るかなと思う。確かに、水を抱くもポイントの一つでしたけどね。

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アウトテープ
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