劇場公開日 2021年2月12日

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「もしかして、偶然と必然は同義語かもしれない」秘密への招待状 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5もしかして、偶然と必然は同義語かもしれない

2021年2月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

自らが進める慈善事業の出資者から、娘の結婚式に出て欲しいと誘われ、出席してみたらなんと、花嫁の父はかつての恋人だった!?そんな、あり得ない偶然の裏側に潜んでいる意外な事実を解きほぐす物語は、人生の行手に待ち受ける驚きと衝撃を描きながら、それでも結局、人には行き着くべき場所があると教えてくれる。同時に、映画または作劇がもたらす醍醐味を堪能できる本作。だから、「そんなのあり得ないでしょ」と放棄せず、最後まで付き合ってみて欲しい。もしかしたら、偶然と必然は同義語かもしれないではないか。つまり、運命的な出会いや別れや再会は、予め用意されていたものなのなもしれないという人生観。ミシェル・ウィリアムズが水に流されていくように目的地に向かうヒロインの変幻自在さを、ジュリアン・ムーアが頑なに思いを実行しようとするキャリアウーマンの悲しさを、それぞれうまく演じている。いかにも頼りない父親役のビリー・クラダップも適材適所な配役だ。もし興味があれば、主人公の2人が男性のオリジナル作品「アフター・ウエディング」(マッツ・ミケルセン主演のデンマーク映画)と見比べてみては如何だろう。そっちはそっちで、また別の味わいがあるので。

清藤秀人