劇場公開日 2020年6月5日

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「それでも子どもをしばるもの」ルース・エドガー bikkeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5それでも子どもをしばるもの

2022年5月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

元の名前をどうしても母親が発音できず
名付けた新しい名前はルース。
光という意味だ。
ここに象徴される親子の関係性。
名前を変えさせられ、デニスという魚を投げつけた子どもから、セラピーを経て品行方正の学校が誇るルースへ。
頭が良いからこそ求められる子どもになろうと
もがき続けてきた少年。
母は小児科医、父も地位の高い士業という
意識の高い育ての両親だ。
そこに生まれた歪み。そのあらわれを指摘した
女教師ハリエットに復讐しようとするのは、息ができないほどがんじがらめになっている状況への怨みでもあるはず。自分に期待する母と、ハリエットという女教師、
どちらも型を押し付けることに変わり無いからだ。

ボヤ騒ぎの後、家で、クリスマスプレゼントの隠し場所のを知っていつも驚いたふりをしてきた遠く告白するシーン。 ハグしながら、あなたには未来がある、何にだってなれる、絶対に。という母親の言葉はまたルースを縛るものに聞こえる。
自分をかたにはめ、しばるものは誰なのか。
自分か周りか。それは何なのか。
自己満足なのか愛なのか。
「自分ありのままでいればいい」と言う母の言葉が
空虚でもあり重くもある。
親と養子縁組が多いアメリカでなくても、
親として身につまされるものだと思った。

bikke