劇場公開日 2020年6月26日

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「短編とは全く違う異なる冷たい質感の映像が鮮烈な実話ドラマ」SKIN スキン よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0短編とは全く違う異なる冷たい質感の映像が鮮烈な実話ドラマ

2020年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

家族に見放され無軌道な生活を送っていたブライオンはフレッドという男に声をかけられ同じような境遇の少年たちと共同生活を始めるが、それはフレッドと妻シャーリーンが組織する白人至上主義の反社会集団。ブライオンは自身の肉体の至る所にタトゥーを刻みながら黒人や移民に対して様々な暴力行為に手を染めていく。そんな荒んだ日々の中でシングルマザーのジュリーと出会ったブライオンは、不条理な社会でも慎ましく生きるジュリーと共に過ごすうちに今までの行いを深く悔いて人生をやり直すことを決意、組織を抜けようとするが、フレッド達はそれを許さず様々な妨害を受けることになる。

実話の映画化とは俄には信じられないほど凄惨な物語ですが、全身に刻んだタトゥーを一つ一つ消す痛みを過去に犯した罪に対する贖罪と重ね合わせる演出は圧倒的な重量感あり。映像には一貫して冷たい質感が宿っていて人種差別が世界に落とす深い闇と呼応しているかのよう。ブライオンを演じるジェイミー・ベルの圧倒的な演技力がとにかく鮮烈ですが、その演技にそっと寄り添うジュリーを演じるダニエル・マクドナルドが放つ壮大な母性もまたくっきりと余韻を残します。

よね