劇場公開日 2020年11月27日

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「生きるのは難しい」佐々木、イン、マイマイン odyssさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0生きるのは難しい

2022年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

映画館では見損ねて、DVDにて鑑賞。

高校時代の同級生・佐々木を、十年あまりたった時点から振り返って回想するストーリー。
といっても回想するメインの男(藤原季節)もまだ生き方が定まらず、同棲中の女の子とも近く別れる予定で・・・と、要するにまだ生き方を模索中の男が主役だからこそ、佐々木の生き方が忘れられなくなるわけでしょう。

悪くはないけど、ラストの奇抜さを除くと、ありがちな映画かなと思いました。
女優では、佐々木とカラオケで知り合う女の子を演じる河合優実が良かったかな。

私の中三のとき、ちょっと佐々木と似た奴がクラスにいた。
やったらバカやって、生徒たちの一方の中心にいる男子生徒。
でも卒業後の進路が違うから、私とはしばらくご無沙汰だった。

彼は工業高校に進んで、やがて地元で就職。
私は普通高校を出てから地元を離れて大学生活を送り、やがて地元でもなく大学生活を送った場所でもない第三の土地で就職。

彼と再会したのは、卒業後20年以上を経た同窓会の席上。
妙に大人しくなっていて、まだ独身なんだと称していた。
でもそれはウソ。その次の同窓会では、従姉と結婚して子供も二人いると正直に告白。
なんで最初から本当のことを言わなかったのか、よく分からないが、昔の自分を振り返って照れていたのかも知れない。

でも、そのまた次の同窓会で、彼が息子を亡くしたことが判明。
バイクの事故だったらしい。
気の毒だとは思ったが、息子が彼に似た性格なら、ありそうだなと思った。
彼や私が中三や高校生だった1960年代後半から1970年代初頭、日本はまだ貧しくて普通の庶民にはバイクは高嶺の花だった。
だから彼も死なずに済んだのかも知れない。
なまじ経済大国になってしまった20世紀末の日本では、彼のようなタイプは生きることが困難になってしまったのかも知れない。

この映画を見て、そんなことを考えた。

odyss