劇場公開日 2020年10月9日

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「男性がどこまで感情移入できるか?男性への挑戦映画」82年生まれ、キム・ジヨン shunsuke kawaiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5男性がどこまで感情移入できるか?男性への挑戦映画

2020年10月17日
iPhoneアプリから投稿

一言でいうなら韓国版『レボリューショナリー・ロード』な映画。

会社では、子育てで休業したり辞めたりするから女性は扱いづらい、だから昇進も男性より厳しく、学歴や職歴が活かせないという女性差別・軽視の問題。家庭の中でも女性は社会に出ると活躍できないから、男子が可愛がられ、優遇される。

日本でも韓国でもある話で、非常に微妙な問題なのであからさま演出だと極端すぎて嘘くさくみえる危険があるし、どこもかしこも女性はダメな扱いをされているかといえばそうではないと思うが、この映画の素晴らしいところは、稼ぎのあるハンサムな旦那がいて、かわいい娘がいて、一見はっきりと不幸な目にあっていると言えない主人公が、その表情や動きで苦しんでいる心のうちをじわりじわりと伝えてくるところ。

これといった決定的な出来事があったわけでもないが、小さな残念な出来事が、じわりじわりと主人公の心を蝕んでいつの間にか精神を病んでしまう。劇的な出来事が起こることをほとんど前提にしている映画という芸術で(それは映画の概念としては少し古臭いです…)、劇的なことが起こらず(もちろん劇的な出来事が起こらない映画など山ほどあります)、誰にでも起こりうるプチ不幸な日常の一こまが非常に絶妙な展開で演出され、それが逆に主人公の辛さを鋭く観客に伝えることに成功している稀有な作品。

だけど、彼女のような状況におかれて、だれもがつらいと感じるかといわれればそうでもないし、だれもが病んでしまうわけでもないと思うから、やはり女性軽視や差別だけじゃはっきり説明つかない部分があってそれが心残り。無理やり女性は生きづらいという変なバイアスがかかっているような気もしてうまく飲み込めない。それはあまりにも極端な気がするし、そういう私には感情移入が難しい映画でもあった。

屠殺100%