劇場公開日 2021年3月26日

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「思想、狂信の行き着く先」ロード・オブ・カオス バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0思想、狂信の行き着く先

2021年3月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

僕は音楽好きですが、ブラックメタルは聴きません。また、悪魔崇拝とか良くわかりません。
本作は興味本位で鑑賞です。

まず、実話ベースなんですよね。観終わってからwikiで読みましたが、まさかねーって思うほど実話に忠実なストーリーの柱です。
(前情報が無い方が楽しめると思います。)

本作はノルウェーのメタル、酒、女、パーティー好き若者達の青春ムービーです。建て付けは。転がるように黒く染まっていく様は、最近見た「ジュース」みたいでした。それと異なるのはこれは「信」と「誉」を狂ったように追い求めた結果と言うこと。
オウムのドキュメントを見た時も思いましたが、人間は信じ込むととんでもないことをします。
それだけでゾッとします。

自分で自分をマインドコントロールしてる例じゃないですかね?本作にでてくるヤバい連中は。
(ボーカルの彼は違うと思いますが)
主要人物の今をネットで読んでみたら、凄い供述してたんだなーと。やっぱ、コントロールしてるわ、と恐ろしさ追体験。
ま、事実は当人にしかわかりませんが。

事実を知った上で本作を振り返ると、脚本が上手いなーと思いました。いくばくかの色付けはあるものの、個人の事情を背景にした動機付けが必要な分だけ描かれているし、バンドの変容していく様も丁寧です。説得力あります。スタートがそれなら終わり方もそれ選ぶよなって。
また、演出も見事です。
色があるようで無いと感じちゃう画面の色。無機質っぽい、けど血の匂いがしそうな感じ。ノルウェーは行った事がないですが、風景の殺風景がまた良い。
暴力描写も徹底してます。けど、これが必要な作品ですね。

黒い青春作品、観終わると暗くした部屋の片隅で、一人体育座りしたくなります。

黒い一瞬の煌めき。秀作。

バリカタ