劇場公開日 2021年2月12日

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「ありえる未来。いや、近未来。」デンマークの息子 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ありえる未来。いや、近未来。

2021年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

近未来のデンマークが舞台。あくまでタラレバのストーリーですが、いやいや昨今の世界の、日本の動きを考えると・・・・薄寒くなります。
ありえます。ありえますよこれ。だって、我々は人間という複雑怪奇な生物なんですから。
対岸の火事じゃぁありません。単一民族国家、島国、少子化、外国人の受け入れ・・・どんどん日本も同様のお話が発生する土壌が出来上がっていく近未来が待っています。

そもそも村社会の国。外国人を「ガイジン」という目で見る(見ていた)民族性、過去国内で発生したと言われる他国民族へのジェノサイドの事実・・・・。決して日本においても絵空事ではないと思います。本当に怖い話です。

人間だから民族関係なく手に手を取り合って生きるべき・・・確かに綺麗事だと思います。同じ日本人同士だって利害が一致しない、価値観が一致しない、性格が一致しない・・・喧嘩になりますもん。
そもそも国民性の違い、国の歴史の違い、宗教の違いなど根本が違えば、より激しく喧嘩するし受け入れ難いでしょう。うまくいかなければ少数派を切り捨てたくなりますよね。絶対に、違いが少ない方が良いですもん。越えるべきハードルが少ないですから。
しかし・・・そこに安易に流れるかどうか?それはよくないと言いたいが、じゃぁどうすれば?の答えはありません、残念ながら僕は。苦労して考えていくんでしょうね、人間ですから、僕たちは。

さて、本作はその答えの見えない世界を見事に、かつ無常に描いています。
前半と後半でメインキャストが変わる(意図的かな?)という面白い展開、潜入捜査という緊迫感、そして後半のメインキャストがなんとも微妙な立場・・・という点がこの物語を分厚くしています。
そうですねー、例えるなら名作漫画デビルマンの不動明の心境でしょうか?
「俺は人間のためにデビルマンになったんだぞー!」って。「それなのにー!」って。
無常ですよ、無常。

本当に人間という生き物は・・・なんて弱い生き物なんでしょうね。
弱いからまとまるし、異質を排斥していくんでしょうね。
でも何かうまくいかなくって、別なやり方を選ぶんでしょうね。
その繰り返しで進んいくのでしょうね。

ただ、ただ日本や世界の国々が過去の歴史を踏まえて進んで欲しいと願うばかりです。

バリカタ