罪と女王

劇場公開日:

罪と女王

解説

仕事も私生活も完璧な女性と義理の息子の禁断の愛を描き、アカデミー国際長編映画賞のデンマーク代表にも選ばれた作品。児童保護を専門とする優秀な弁護士のアンネは、夫と前妻との息子で、問題を起こして退学となった17歳の少年グスタフを引き取ることになる。衝動的な暴力性があるグスタフは家族になじもうとしなかったが、アンネは彼を家族として迎え入れ、正しい方向へ導くため努める。しかし、グスタフとの距離を縮めていく中でアンネは彼と性的関係を持ってしまう。そして、彼女の過ちによって大切な家庭とキャリアが脅かされ、アンネは残酷とも言えるある選択をする。アンネ役を「リンドグレーン」のトリーヌ・ディルホム、グスタフ役を新人のグスタフ・リンが演じる。女性監督が手がけた作品で初めてデンマーク・アカデミー賞(ロバート賞)の作品賞を受賞するなど高い評価を獲得した。「トーキョーノーザンライツフェスティバル2020」(20年2月8~14日/ユーロスペース)では「クィーン・オブ・ハーツ」のタイトルで上映。

2019年製作/127分/R15+/デンマーク・スウェーデン合作
原題:Dronningen
配給:アットエンタテインメント
劇場公開日:2020年6月5日

スタッフ・キャスト

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(C)2019 Nordisk Film Production A/S. All rights reserved.

映画レビュー

3.5史上初、女性監督がデンマークのアカデミー賞で作品賞受賞! 刺さる人には刺さる作品

2020年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

新型コロナウイルスの影響で1ヶ月公開が遅れていましたが無事に日本でも公開されるようです。
本作は、デンマークのアカデミー賞(ロバート賞)で作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞など主要9部門受賞した、まさに2019年のデンマークの代表作です!
しかも、私が毎年注目しているアメリカのサンダンス映画祭で「観客賞」を受賞しているので、これは見ないと後悔しそうだと見てみました。

まず、本作は、題材が選ばれた視点から興味深いのです。
監督が「家族の秘密はどのように生まれるのか?」という視点から「家族の秘密が出来る様子を映画化しよう」と考えたそうです。
そして、選んだのが「性交渉のスキャンダル」。
「性交渉のスキャンダル」において「年上の男性と若い女性の関係」と「年上の女性と若い男性の関係」では、人々は圧倒的に後者の方を「ロマンチック」に捉える傾向がある、と分析しています。
言われてみれば、確かに日本においても、後者の方はセンセーショナルに取り扱われますよね。
そこで、生徒と性交渉を持った女性教師に関する記事をリサーチしながら、本作は形作られていったようです。

本作では、気の強い女性弁護士の一家に、夫の、元の奥さんの子供(青年)がやってきます。
最初は心を閉ざしていた青年が、「ある事」をきっかけに少しずつ心を開いていくのですが、その「ある事」にしても、あまり見たことの無い展開でした。
主人公の女性が頭脳明晰な弁護士、という設定も上手いですね。
そして、物語は想像できない方向に進んでいきます。

なるほど、ここまでしっかりとした作品であれば「2019年のデンマークの顔」となったことにも納得がいきます。
ただ、ストーリーは決して単調ではないですが、ハリウッド作品のように物凄く凹凸を付けて描かれているわけでもないので、刺さらない人もいるでしょう。
なお、モザイクの入るシーンでは、監督が「#Me Too」運動を過度に意識し、男性の俳優に相当に配慮した撮影がなされたそうです。ここら辺のエピソードは、女性監督ならでは、ですね。

本作は、あまり見かけない題材な上に、様々な判断を観客に投げかける良質な作品でした。「共感」「不快」「好奇心」など、どの感情でもいいので、一度は見てみてもいいのではと思います。

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細野真宏

3.0間抜けな父と欲情逆ギレ義母を持った息子の悲劇

2024年3月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

親による子供が犠牲になる事件、選択肢無く特異(悪い)な環境で育つしかなかった子供。個人的には子供(グスタフ)目線で観てしまったので、クズ親の身勝手物語にしか見えなかったが、映画としてはソコソコ楽しめました。親は完璧な人間でなくてもマトモな人間であってほしいですね。

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McCandless

1.5義理の息子を貶める企み

2023年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

トリーヌディルホム扮する弁護士アンネは、夫と相談して退学になった前妻との息子グスタフリン扮するグスタフを引き取った。しかしグスタフは家庭になじまなかった。グスタフは彼女を家に連れて来たりしていた。

少しなじんできたところでタトゥーなんか入れさせるのかな。ちょっと違うよね。弁護士なのに欲求不満気味だったんだろうね。アンネのグスタフに対する接し方が間違ってるよな。家庭内でやり始めたら収拾がとれなくなるからね。若者を引っ張り込んではダメだろう。義理の息子を貶めるなんて本当にこの人弁護士なのかな。

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重

3.5女王は、愛を知らず。

2022年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

『罪と女王』
邦題の勝利ですね。インパクトがあります。
デンマークの題名はただの『女王』

インテリ女性弁護士の身勝手に戦慄する映画でした。
2019年。デンマーク映画。
監督も女性で、メイ・エル・トーキー。
デンマーク国内の賞を総なめ。
サンダンス映画祭の観客賞及びアカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表に選出された。

(近年は日本でも、女性監督の方が、性描写が過激になる傾向があります)
(それは自我を解放して、欲望を隠さなくなった女達の姿と重なるのです)
(でも、私は、甘くても、ロマンスドールや、REDの世界が好き)
ともかく主人公のアンネには全くの共感を感じない映画だった。

デンマークに住む弁護士のアンネ(トリーヌ・ディルホム)と医師のペーター(マグヌス・クレッペル)は、瀟洒な邸宅に双子の可愛い娘と暮らしていた。
ある日、ペーターの先妻の息子グスタフ(グスタフ・リン)をスウェーデンから引き取り、
同居することになる。
グスタフは17歳で、素行不良で退校になったのだった。
不機嫌で反抗的で家庭に馴染まないグスタフだったが、ある日、盗難事件が起こる。
その事件をキッカケにアンネとグスタフは親密になるのだ。
女も40代後半にもなると、容色が衰える。
アンネがグスタフのガールフレンドとの情事に興奮して、
垂れた乳房の裸身を鏡で確認するシーンは、「まだまだ捨てたもんじゃない」
「もう、ひと花咲かすわ!!」なのかしら?

唐突にアンネはグスタフを誘惑するのだ。
アンネの大胆な欲望。
カメラはモザイクを入れながらも、かなりの衝撃度。
トリーヌ・ディルホムの女優根性に恐れ入る。

夫の留守。娘の寝込んだ深夜。自宅で関係を持つアンヌには道徳心のカケラもない。
あるのは欲望・・・北欧の夏を惜しむように激しく燃えるアンネ。

ふたりの関係を妹のリナに気付かれたアンネは一転して、グスタフへの裏切りとも言えるある選択をする。

アンネの仕事は虐待やレイプ、暴力を受けた少年・少女を守る弁護士です。
仕事では人権を守る熱心な弁護士のアンネが、現実の生活では少年の人権を守っているでしょうか?
人間の二面性に驚きます。
非道とエゴ、非情が浮かび上がります。

収入の良い医師の夫。パートナー弁護士と事務所を経営する知的な才媛。
可愛いふたりの娘。
完璧な生活。完璧な幸せ。完璧な女性。
足りないのは「若さ」
そして欲望を満足させる、有り余る精力を持つ若者とのセックス。

自由奔放なセックスを愉しみ、少年の心と身体を弄んだ代償。
アンヌは生涯向き合うことでしょう。
人間の心の心奥に迫る大人な映画でした。

最初のシーン。
白樺の林を犬と散歩するアンネ。
家に帰ると不機嫌な夫は仕事でスウェーデンへ向かうと言う。
何か不吉な予感がする。

そのシーンを、もう一度ラストに持ってくる。

不穏な空気の意味が最後に解けます。

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琥珀糖
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