劇場公開日 2020年2月14日

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「人を殺した経験のある者のの老後は悲惨。しかし、明日がないわけじゃない。」ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男 はるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人を殺した経験のある者のの老後は悲惨。しかし、明日がないわけじゃない。

2021年9月4日
PCから投稿

ヒトラーを殺し、・・・・・そのタイトルだけでこの映画を観始めたんだ。
目に余るほどの老け込みようではなく、背中に切なさがこびり付いてしまった老人が画面に現れ、そしておおよそこの老人の若いころだと思わせる若者がナチの将校の制服を身にまといヒトラーの執務室にまんまと入り込み射殺する。そんな過去と現実とを交差させながら映画は進んでいく。日が昇りそして沈む一日を淡々と生きている男。その後ろ姿には迷いがない。ヒトラーを暗殺して第二次世界大戦を終わらせたの自分だという自負心などでは全くない。それは一人の女性を心の底から愛し続けていることへの自信なのだろう。どこまでも底なしの愛を抱えて生きる老人にFBIからの依頼が来る。「ビッグフットを殺せ」。人類を救うためだと想像もしなかった依頼。僕は、ビッグフットというのは人間の殺人鬼だと思った。しかし、違った。(未確認生物だとは思わなかった。どうやらこの手の映画はマニュアックな人たちがいるのだ)映画も半ばを過ぎたころに本編に突入したようだった。しかし僕には全般のいくつかのシーンが目に焼き付いたままだった。孤独、静寂、夜の底なし闇。歳を重ねれば思い出だけで生きられる。そんなことを想像して生きている自分と重ねていたのかもしれない。老体に鞭打ち死闘を繰り広げビッグフットを仕留めるが・・・・達成感は彼の胸には湧き上がって来ない。でも、生き延びたことの喜びはきっとあるはず。
アメリカの田舎町で生まれ。そして育った若者の純真な心身は、いまでも生き延びているかのようだ。

はる