「映画の持つ力を改めて感じさせてくれる。」ダーク・ウォーターズ　巨大企業が恐れた男　和田隆さんの映画レビュー（感想・評価）

ハリウッド映画のスターであり、実力派俳優のひとりであるマーク・ラファロが主演とプロデューサーを兼任して、全米を震撼させた実話に基づく衝撃の物語を映画化した。巨大企業との闘いを描いた内容のため、場合によってはスターの地位を失う危険性もありそうなもの。しかし、主人公の弁護士と同様に、不屈の精神で本作を製作したラファロの熱い思いが見る者の胸を打ち、映画の持つ力を改めて感じさせてくれる。

本作のコピーに「真実に光をあてるためにどれだけのものを失う覚悟があるのか―」とある。自らの大切なものを失うかもしれないことを覚悟して、巨大企業の隠ぺいを暴き、弱き者を救おうとすることは並大抵の信念ではないだろう。ラファロは、そんな弁護士ロブをヒーローや聖人として演じるのではなく、プレッシャーやストレスとも闘いながら、真実をひたむきに追及する生身の人間として感動的に演じ切っている。