劇場公開日 2020年3月13日

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「スターとして在ることの孤独と影を想像させる」ジョン・F・ドノヴァンの死と生 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スターとして在ることの孤独と影を想像させる

2020年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

グザヴィエ・ドランが子供の頃レオナルド・ディカプリオにファンレターを送ったことに着想を得た物語。ドラン映画は前に観始めて途中で挫折したことがあり、以来苦手意識があったが、新作は英語作品ということもあってか無理なく楽しめた。

ルパートが子役の頃に人知れず文通していた相手は人気俳優のジョン・F・ドノヴァン。年齢差はあっても同じ業界にいてそれぞれ疎外感を抱える2人は、手紙を通じて絆を感じ孤独に耐えていた。だがジョンは少年との文通が世間に知られた時、報道陣に発した言葉でルパートを傷つけてしまう。スターとして振る舞ううち本心を隠すことが習い性になり、本意でない発言で大切な人を、そして自身をも苦しめる影の側面を考えさせられる。

騒動の後、キャシー・ベイツが演じるマネージャーとジョンとのやり取りが切なくやるせないが、ビジネスの前に「人間らしく在ること」を訴えてもいるようで、そこに希望を感じもした。

高森 郁哉