劇場公開日 2021年2月11日

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「容疑者に憑依したような芳根京子の演技が凄い。脇を固める俳優陣も贅沢。」ファーストラヴ 山田晶子さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0容疑者に憑依したような芳根京子の演技が凄い。脇を固める俳優陣も贅沢。

2021年2月9日
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鑑賞方法:試写会

ベストセラーの完全映画化とはいえ、ヒューマンドラマに鋭利なメスを入れつつ、禁断の真相をじわじわと伝えていくあたりは堤幸彦監督らしい。
本作は、「父親を殺した女子大生の動機」が、二人の女性の「閉じ込めた記憶」から解かれていく心理合戦のような物語。
二人の女性とは、芳根京子が演じる容疑者(聖山環菜)と北川景子が演じる公認心理師(真壁由紀)。
二人の間で、事件の解決に欠かせない弁護士(庵野迦葉)を演じる中村倫也は、真壁由紀の夫(我聞)の弟でもあることから、一見、ストーリーが混乱するように思えたが、そうではない作りに新鮮さすら感じた。
基本的に内容は重い。供述が二転三転する容疑者の生い立ちを裏づける現実に、公認心理師の心の闇がシンクロしていく描写は目を伏せたくなる。そんな心理的サスペンスに絡んでくる「ファーストラヴ」の経緯を確認するためにも、是非とも劇場に足を運んでもらいたい作品。
登場する俳優陣の演技と(主題歌と挿入歌を手掛けた)Uruの曲は、映画化となった本作を十二分に盛り上げている。

山田晶子