劇場公開日 2020年9月25日

「少し物語の弱さはあるものの、小ネタの豊富さや声優陣の豪華さには驚かされる作品。」アダムス・ファミリー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5少し物語の弱さはあるものの、小ネタの豊富さや声優陣の豪華さには驚かされる作品。

2020年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『アダムス・ファミリー』と言えば、アンジェリカ・ヒューストン、ラウル・ジュリアがアダムス夫妻を演じ、クリスティーナ・リッチの存在を世界に知らしめた1991年版が非常に有名ですが、本作の雰囲気、キャラクター造形はそれと基本的に大きな違いはなく、過去作になじみ深い観客にとってもそれほど違和感がなく受け容れられるものではないかと思います。ちょっと手足が細すぎるような気もするけど。

もっとも『アダムス・ファミリー』の造形は1964年のテレビシリーズでほぼ完成しているため、むしろアダムス・スタイルとでも呼べるような様式を、連綿と引き継いできた、と見るべきかも知れません。

「ふつう」であるということを求めるマーゴを筆頭とした悪役とアダムス一家の対立軸は、実際の誰かさんをモデルにしたとしか思えないマーゴの、非常に分かりやすい言動ゆえに明確で、物語を追う上で何のひっかかりもありません。もっとも物語の分かりやすさにこだわった弊害か、特に結末の展開に強引さが目立ってしまっています。ウェンズデーの友人となる女の子はそれなりに魅力的なんですが、こちらの友情関係の発展もそれほどの意外性を感じられないところが残念。

確かに物語的な弱さはあるのですが、マーゴの元ネタを当てたり、彼女が率いるカメラクルーのへたれっぷりににやりとしたり、見せ場のあるなしにかかわらずアダムス一家の親せき達がきちんと造形されていたり、といったように、コンパクトな上映時間の中に色々な見所が詰め込まれています。アダムス一家の排斥の場面だけはなかなかに真に迫っていて、このあたりも現代性を感じます。

シャーリーズ・セロンをはじめとした声優陣が豪華なので、一度は字幕版を鑑賞することを強くおすすめします!

yui