劇場公開日 2019年11月22日

「ガープの世界」失くした体 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ガープの世界

2019年11月23日
iPhoneアプリから投稿

ガープの世界は、映画で初めて知って、その後、本を読んでみた。村上春樹さんが、熊を放つを翻訳してるので、作家のジョン・アーヴィングを知ってる人は多いのではないかと思う。
物語は、映画を観るか本を読んで欲しいのだが、マジかと思うようなところから始まる。そして、不条理とも違う、人間の欲望と、それにともなう愚かな行動や、当然、良い結果など生まれないのだが、でも、どこか滑稽な感じが、僕達の生きる世界と重なって、本当に面白い(人によるとは思うけど)。
前置きが長くなりましたが、この作品も、そういう意味では、ガープの世界の影響を、プチ、受けてる気がする。
「失くした体」を探して必死に持ち主(?)のところに帰ろうとする「手」。
回想も、ちょっとした独りよがりの行動で引き起こされる事故や事件など、自分の体験を重ねて慎重に振り返ると、誰にでもあり得るかもしれないような出来事を、大切に描いてる。
「手」の冒険もなかなかイケてる。
僕の後輩で、ロスでジャズピアノを習ってたのがいて、ピアノは訓練に次ぐ訓練だと言っていた。
確かに、ギターも、PCのキーボードのブラインドタッチも訓練といえばそうだが、たまに自分の手が意識より先に行動してるような時があって、エッと思うことがある。
そういう意味で「手」というものについても考えさせられる。
そして、この映画の「手」には、もしかしたら、作中で語られるように、運命を信じていて、奇跡があるのではとの期待がプチ、高まる。
しかし、手が「失くした体」は、過去の苦い記憶を振り払い、新しい未来にジャンプするのだ。
「手」は少し寂しかったのではないか。
象徴的に「手」を使って描いた、なんか、ちょっとイカした映画だった。
アニメだが、アニメを観て育った世代には、面白く観れるのではないかと、そんな気がします。

これも、アイリッシュマンに続いてNetflixか。
日本の映画製作会社も、メディアも、ソニーも頑張んないと、ねえ。

ワンコ