劇場公開日 2020年7月17日

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「チラシの漢字に全部読み仮名が振られていた」今日から俺は!!劇場版 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0チラシの漢字に全部読み仮名が振られていた

2020年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作のチラシを映画館で見かけて、興味深いと思ったのは、漢字全てに読み仮名が振られていたことだ。原作漫画は90年代の作品で、TVドラマは22時30分からのやや遅い時間帯の放送だったが、漢字の読めない世代にも人気があるということなんだろう。実際、小さい子ども連れのお客さんが映画館に本作を見に来ていた。そういう世代の子たちには、ヤンキーというのはどういう存在なのだろうか。もう侍や忍者みたいな歴史の中の1ページくらいの認識なんだろうか。
本作のヤンキー像は、原作の時点で相当に虚構性が強い。ビー・バップ・ハイスクールなどとはそこが異なるのだが、その非リアル志向は福田雄一監督のセンスとも合致しているだろう。芝居もアクション演出もリアルからどんどん遠ざけ、虚構性を原作以上に強めているように感じられる。実写映画でここまでリアリティを除けるのは逆にすごいのかも知れない。福田監督がこれだけヒット作を連発できることについて、もっとしっかり考えなくてはいけないと思った。主に現代の観客にとってのリアリティとは何かということを。もしかしたら、リアルだと感じるポイントそのものが大きく変化しているのかもしれない。

杉本穂高