劇場公開日 2021年1月29日

  • 予告編を見る

「これも一つの愛の形・・・なのかな?」わたしの叔父さん バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これも一つの愛の形・・・なのかな?

2021年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

デンマーク映画、興味津々で鑑賞。
いやぁー、オープニングからしばらくの間驚きが止まりませんでした。
全くセリフがない。放送事故じゃないか?というくらいに淡々と日常が映し出されるだけ。
でも丁寧に丁寧に、雄弁に語る映像。もう、主人公とおじさんの日常が手にとるようにわかります。
この調子が反復されていくのです。毎日毎日。ほぼ寸分違わず。

その演出があるからこそ、些細なほんの些細な「ありがち」な出来事が大いなる事件になっちゃったりするわけです。その演出があるからこそ、絶妙な笑いを生んだりします。
非常に単調なはずなのに、淡々とした日々を描いているだけなのに全く飽きさせない展開。
この監督の手腕はさすが!と言わざるをえないのではないでしょうか?
些細ではありますが確実に生まれる「ギャップ」をうまく使って、人の心の微妙な部分もうまく描いているのではないでしょうか?緩急が絶妙です。

ストーリーは普遍的な日常を生きるクリスの心のザワザワを描いた良作です。
ザワザワはが前述のように、セリフ少なくも雄弁に映像で語ってくれます。穏やかに心に染み入る物語になっています。年頃のクリスのザワつく日常に、昔からお世話になっている叔父さんがいい具合に絡んでくるんですね。これが本当にユーモラスなんです。
けど、じんわりと伝わってくる叔父さんの親心とクリスの感謝の気持ち。
よくありがちな「選択の葛藤」はないんです。この辺りが面白いです。
色々ありますが、クリスの優先順位は決まっているんだよなぁ。

知り合った男性に「さっさとすませて!」と差し出す姿は
明確にクリスの優先順位を表してるよなー。そんな大事なことより大切なんだもん叔父さんが。
うーむ、けどなぁ恋愛じゃないよなぁ、恩義なのか?自分がいないと駄目なんだと言う勝手な思い違いでもない。使命感?・・・?うーん。

で結局僕はラストのカットでこれか!って思いました。
叔父さんの知らなかった一面を垣間見たクリスの表情。
その絶妙な表情は、「叔父さんと一緒にいると楽しい発見ばかり!あー楽しい!」って言ってるようでした。こんな愛の形があってもいいんじゃないかな?

バリカタ