劇場公開日 2021年5月7日

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「【”結昇” 亡き母が命を懸けて探した陶土が、壊れかけた家族の絆を再び結んだ、喪失と再生の物語。】」未来へのかたち NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”結昇” 亡き母が命を懸けて探した陶土が、壊れかけた家族の絆を再び結んだ、喪失と再生の物語。】

2021年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー ”結昇” 砥部焼、リュウセイ窯を営むリュウセイの工房に墨痕も鮮やかに額に入れ、掲げられている言葉である。
 良い言葉だなあ・・、と思いながら作品鑑賞。
 だが、リュウセイは”結昇”の言葉とは真逆の行為を父、兄に対してする。
 そこには、ある哀しき理由があった・・。ー

■感想
・砥部焼を、世に広めるために、五輪聖火台を地域の絆で作って行く物語であるが、内容は
”家族の絆の再生”
に徹頭徹尾、フォーカスしている。

・冒頭、砥部焼により五輪聖火台を創ろう、という町の提案に対して、否定的なモノ言いをいう3人の男の姿。
ー 最初から、
  “出来ない、無理、どうせ竜見釜の作品が選ばれるだろう・・”
  という言葉は、絶対に使ってはいけないよな。
  否定的な思想からは、何物も生み出さないのは、自明の理である。ー

・ありがちなテーマではあるが、名優の域に達した砥部焼の第一人者竜美を演じた橋爪功や、リュウセイの兄で、母が亡くなってから家を飛び出し、美大の教授になった竜哉を演じた吉岡秀隆の安定した演技と、
今や中堅どころとなった内山理名さんの一本気なリュウセイをいつも笑顔で支える奥さん振りや(時代劇のイメージが強かったので、そこも新鮮だった。)
若手の桜田ひよりや、飯島寛騎の笑いを誘う演技のバランスも良い。

・亡き母を演じた大塚寧々さんは、いつ見ても素敵な方であるなあ・・。

<モノづくりは、皆で力を結集して行うものであるが、陶芸でも皆で力を合わせ、夫々の良い所を取り入れると、素敵な”大作”が出来るのであるなあ、と思った作品。
 今の様な時代だからこそ、いがみ合う事を止め、力を合わせて難局に対応していく必要性が、今まで以上に増しているのだ、と思った作品でもある。
 それは、今作で描かれたように家族の域を超え、様々な組織でも言えることであるよなあ・・。>

NOBU