劇場公開日 2020年1月17日

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「ずっと細かい棘が刺さってるような痛い感じ」花と雨 redirさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ずっと細かい棘が刺さってるような痛い感じ

2021年10月3日
iPhoneアプリから投稿

劇場公開期間短く、見逃したもの。やっと配信で拝見。もう一度見たいと思うし、できたら劇場で見たい。
吉田役の役者さんがとてもよい。顔にキズもよい。日本語も英語もマンブルするような話し方で、チクチク、細かい棘が刺さってるような感じになる。
冒頭の風力発電機この世の哀しみをひきだす世界の果てみたいな風景から、車をプルオーバー。車内でのフライトアテンダントとの短い会話。この映画ではあまりない、小さな温かみを感じる少ないモーメント。
全体に撮影、編集がかっこよくて、東京の街の切り取り方もすごい共感ある。
ロンドンでも日本でもサルと呼ばれていじめられる。帰国子女なんて言葉があること自体意味不明だけど、帰国子女あるあるで、そこそこよい暮らし場合によってはかなり豊かな暮らししてるのに海外で受ける劣等感と帰国してから待ち受ける重苦しくのしかかり自由の観念打ちのめす閉塞感。いわゆる勝ち組になれた筈のお姉ちゃんも日本独特のバリアに閉じ込められ押しつぶされ、両親はお姉ちゃんに期待しお姉ちゃんは弟に期待していたような。
ガンジャ栽培部屋に至るながいながい階段、空洞、堂々巡り。害虫に食い荒らされる草。ほとんど笑顔(嘘じゃないやつ)ない映画、ハスラーうまくやってる吉田の自信と幸福感表現してる時だけ少し棘の傷み痛み忘れる。チビチビ書きためることばもマイクの前で逡巡しくぐもる声、、、
東京のこの頃のラッパーさん、ハスラー、こんな感じかと知ることができ吉田、SEEDAさんと周辺のこともわかり、そして無駄にラップ、ライブシーンない所がなんとなく真摯さを感じる。
<つづりきれないおもいをつづる>こと、ピリピリ、チクチクとトゲトゲしく吉田演じた役者さんが見事に表現している。
見てる時は、茶化す意味合いではなく、痛いなあとずっと思いながらだったが観賞後SEEDA さんのアルバム花と雨をきいて星満点になりました。

redir