劇場公開日 2020年11月13日

  • 予告編を見る

「独りじゃない。苦悩の中で教えてくれる、ヒロインの感動作。」水上のフライト 門倉カド(映画コーディネーター)さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0独りじゃない。苦悩の中で教えてくれる、ヒロインの感動作。

2021年1月26日
PCから投稿

泣ける

悲しい

幸せ

【賛否両論チェック】
賛:夢を絶たれてしまった者が立ち直ることの難しさや、だからこそ実感出来る周りの人達の温かさ、そしてその支えの中で新たな夢に向かっていく力強さに、思わず心動かされるよう。主題歌も魅力的。
否:どうしても似たようなシーンが多く、惹かれないと退屈してしまうかも。ヒロインのキャラクターにも、好き嫌いが分かれそうなところか。

 不慮の事故で選手生命を絶たれ、どん底で抜け殻になってしまったヒロイン・遥。周囲が懸命に励まそうとしても、どうしてもそれを受け入れられずに苦しむ遥の姿を通して伝わってくるのは、1つの夢を諦めて、次の夢へと向かうことの悔しさや難しさです。
 そんな彼女が、今は亡き父と幼い頃に乗っていた縁で出逢った、“パラカヌー”という新たな夢。一歩を踏み出そうとする彼女の背中を、沢山の人々が押してくれる様は、“決して独りじゃない”ということを伝えてくれるようです。カヌーの整備をする颯太が、心を閉ざす遥に告げる、
「じゃあお前はさ、車椅子になる前は・・・誰の手助けも受けなかったの?方法が変わっただけなんじゃないの?」
という言葉が、心に響きました。
 そして何といっても胸を打つのは、SUPER BEAVERの主題歌「ひとりで生きていたならば」です。どんな人でも独りで生きている訳ではなく、誰かに頼って頼られて、関わり合って生きていることを教えてくれるような、とってもステキな楽曲です。
 夢に向かって頑張っている方には勿論、上手くいかずに悩んでいる方や、苦しんでいる方等々、様々な方にご覧になっていただきたい作品です。

門倉カド(映画コーディネーター)