劇場公開日 2021年2月20日

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「尊厳は、痛みとボケで、忘れ去る」痛くない死に方 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0尊厳は、痛みとボケで、忘れ去る

2021年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

良い映画だったなぁ~。
現在65歳の私は92歳の母親との二人暮らしということで、いくら母親が元気な方だと言っても、その老いと毎日向き合っていると“死”という言葉をいつも心の何処かに感じて生きなければならず、勿論、母親だけでなく私自身の死についても向き合わなければならない年齢でもあります。
人は誰でも平等に死にますが、死に方だけは平等とは限りません。
死に方を大別すると、自然死、病死、事故死(災害死や戦死も含む)と3種類で、大半は自然死か病死でしょうから、その覚悟だけはある程度しておくべきなのでしょうが、覚悟していても中々ままならないという事を本作では語られていました。
本作の大筋は若き在宅医療の医師の成長物語になっていますが、ひょっとするとそういう人達のお世話になるかも知れない私達全ての人間に対して“覚悟”を促すための映画であり、誰でも出来れば痛くない死に方がベストではあるけれど、そればかりは自分の力ではどうしようもないし、誰のせいでもないということを理解し覚悟を持つための作品だと受け止めました。
しかし、私も含めて今後は益々独居老人が増えて行く社会になり、看取る縁者もいなくなると、更に違う形での介護士や在宅医療の医師が増えて行くと思うのですが、私が死ぬ頃にはどうなっているのか全く想像できませんでした。
この作品では2件の人生の最後が描かれていましたが、後20年後くらいになると、この2件どちらの最後も凄く幸せなケースになっているかも知れません。

追記.
関係ないけど、“なんちゃって俳句”私も老後の楽しみにちょっとやってみようかな…「死に際に、誰がいるのか、枕もと」「死んでから、どうなるのやら、家とゴミ」
おそまつ

シューテツ