劇場公開日 2021年2月20日

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「どう生きるか。どう死ぬか。」痛くない死に方 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0どう生きるか。どう死ぬか。

2021年3月21日
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鑑賞方法:映画館

在宅医療、自宅での看取りの難しさを痛感した。正直私はあまりこのことに肯定的ではない。自宅で死にたいと望むことは理解できるし、理想的だろうが支える家族の負担は計り知れない。

医師の河田。開業への近道だと助言され進んだ道だが全く身が入らない。担当する患者が不本意な形で亡くなってもまるで他人事。そんな浅はかな考えをその娘に見透かされる。「父を殺したのは誰ですか」と。
後半。そこには患者にもその家族にも信念を持って向き合う河田の姿が描かれる。まるで1人2役かのような河田像を見事に演じた柄本佑が素晴らしかった。
宇崎竜童扮する余命わずかな本多とのやり取りは時に微笑ましく、そして時に残酷で、人の死は決して綺麗事ではないと思い知らされる。結局、最終的にその死と向き合うのは他でもない本人とその家族。在宅医師が寄り添える限界点。
そしてこの先も生きてゆく家族の悲しみや絶望を癒すことができるのはきっと医師ではない。

多種多様な生き方が認められる現代。その中でどう生きて、どう死ぬか。家族はどこでどう死んでほしいと願うのか。
生きることも、死ぬことも意味がなくてはならないような難しい社会。

さしあたって私の場合は痛くない死に方より、まずは痛くない生き方を学びたい。

はるたろう