小世界
劇場公開日 2019年9月21日
解説
「ナグラチームが解散する日」で注目を集めた若手映画作家・田口敬太監督作。自殺に失敗した女子高生と、彼女を助けようとして命を落としたフリーターの男。雨の中、通行人に問いかける謎の女。望まぬ妊娠をした女と、生きる目的を失った映像作家の男。日常の中にあるささやかな幸せについて描いた3つの物語。出演は、舞台を中心に活躍する永田紗芽、「湯を沸かすほどの熱い愛」の小澤雄志、「恋愛依存症の女」の井手口裕樹。池袋シネマ・ロサの特集上映で、新鋭映画作家の根岸里紗と田口敬太の4作品を2週間にわたって各週2作品ずつ上映する「特集:二人の作家<根岸里紗×田口敬太>」(2019年9月21日~)で上映。
2018年製作/54分/日本
スタッフ・キャスト
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2019年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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上映後の登壇挨拶でも監督が自覚していたのだろうが、その自己分析は認識通りの評価であろう。当然、非難されることではないが、監督の観念が100%濃色還元された作品であり、正直その哲学性、思考、訴えたいテーマ等が、全く曖昧模糊であり、心に届かない内容である。それ以上に解りにくいストーリー展開と、解釈を観客に委ね過ぎな部分、自己満足と捉えられても仕方のない不必要な電車走行の長回し(高円寺過ぎて中野迄は、何の需要があるのだろうか…)等々、残念だが、苛立ちと諦観、そしてその後訪れる睡魔への誘いに苛まれることしきりである。
某映画鑑賞サイトでのレビューに、冒頭のアンケートが寺山修司を引用しているとのことだが、自分も含めてそこまで理解できてる客はどれだけいるのだろうか?監督自身がすっかり高みに登ってしまって殿上人になって映画を恵んでいるのだろうか?そんな穿った、辛辣な見方さえ感じ取ってしまう。
お化けが出るからファンタジーにしたいのだろうかと思いきや、延々はとアンケートインタビューを断られ続ける女性と背景には原発反対デモ、そして初めのパートで自殺未遂しようとした女の子が、今度は大人になり『レンタル彼女』のような仕事で客とのたわいのない交わし合いをする件の関連性の希薄さに、これは監督の最近観た夢を見せられているのだろうかと訝しく思ってしまうのだが・・・。
中絶しただの、それが嘘で本当は堕ろしていないだの、その件の意図が丸っきり作品としての一貫性の無さを暗喩しているようで、もしこれが観客を翻弄する意図ならば、ご免被りたいというのが本音である。実験映像という類にカテゴライズされるのならば、自分としてはこれは受け付けかねる作品である。勿論、高評価を下す人もいることを批判はしないし、自分には合わなかったという一言で済む感想なのだが、上智大出身の監督がその頭脳を用いて今後も活躍してくれるのか、お手並み拝見といったところか。
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