劇場公開日 2019年11月29日

「【ある夫婦の関係性の変遷を、コミカル要素とシニカル要素を絡めながら描くヒューマン”ホーム”ドラマ。心に沁みます。】」マリッジ・ストーリー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.026
35%
57%
6%
2%
0%
採点

採点する

採点するにはログインが必要です。

新規会員登録

5.0【ある夫婦の関係性の変遷を、コミカル要素とシニカル要素を絡めながら描くヒューマン”ホーム”ドラマ。心に沁みます。】

NOBUさん
2019年12月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

 冒頭、ニコール(スカーレット・ヨハンソン)とチャーリー(アダム・ドライバー)の夫婦がお互いの長所をモノローグで語りながらその数々のシーンが映し出される。

 例えば、ニコールは夫の事を
 ・映画を観るとよく涙を流す
 ・料理が上手
 ・私が怒っても、感情的にならず対処してくれる
 ・手先が器用で、繕いモノもし、アイロンも自分でかける
 ・滅多に自分の信念を曲げない  ・・・

  といった感じで、語る。
 (一瞬、スカヨハの好みの男は私だったのか!と思う。
 ・・・・本当にすいません。アダム・ドライバーみたいにロン毛ではないし、演技も出来ません・・)

 が、次の場面では仲裁人の男性の前で不愉快な顔で椅子に座る二人。
ニコールは仲裁人からの”お互いの長所を語り合って・・”という言葉にも不愉快そうに”嫌だ、二人でシャブリあってな!”と捨て台詞を吐き、立ち去る・・。

 前半は、二人の関係性が、チャーリーの浮気やニコールの映画女優としての人気に陰りが出始め、徐々にチャーリーの演劇作家としての実力が認められてきたパワーバランスの変化もあり、徐々にギクシャクしてきた背景が随所で描かれる。

 当初、二人は協議離婚を考えていたが、ニコールがノーラ(ローラ・ダーン)という遣り手の弁護士を雇ってから、二人だけの問題が息子ヘンリーを始め周囲を巻き込んだものになっていく・・。

 現代訴訟社会への皮肉もしっかり盛り込みながら、物語は進む。
(ノーラと対抗すべくチャーリーが比較的温和な弁護士(アラン・アルダ)から攻撃的な弁護士(レイ・リオッタ)に変える場面や、
 ノーラの自らの弁護士の価値を高めるために、有利な結果を少しでも残そうとする姿勢(親権の割合に拘る場面など))

 <今作の印象的な場面>
 ・近年、ハリウッド大作への出演が続くアダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンの数々の長台詞も含めた迫真の演技がアップで長時間観れるところである。矢張り二人は良い役者である事を再認識した。

 最初は感情を抑制しているが、徐々に能弁になり、感情の昂ぶりを爆発させるアダム・ドライバーは滅多に観れないし、更に歌まで歌ってくれる(良い声である・・)。

 又、スカーレット・ヨハンソンの複雑な感情を吐露する場面での台詞回しや感情の機微を多彩に変化させて魅せる表情など、ちょっと驚く。

 ・深刻なテーマでありながら、ニコールの母、姉をコミカルなキャラクターとして登場させることで、内容に笑いを盛り込んで居るところも良い。

 ・が、今作の白眉はチャーリーが冒頭用意した妻ニコールの長所を綴った文を、息子ヘンリーが読むのを手伝ううちに一人で読み始め、”ある文章”を読んだ際に涙で声が詰まる姿とそれを扉の向こうから聞いていたニコールの徐々にフォーカスされる涙を浮かべて優しく微笑む表情だろう。

 この場面で涙を抑えるのはかなり難しい。

 又、冒頭のモノローグ場面をそのように繋いだか!と思った、ノア・バームバック監督が自ら書き下ろした脚本の熟練の技にも舌を巻く。

 <ニコール(スカーレット・ヨハンソン)とチャーリー(アダム・ドライバー)の夫婦が協議離婚をして、チャーリーが望んだ”友達”の関係に戻るのか、夫婦関係が修復されるのかまでは描かれていないが、ニコールのチャーリーに対するラストのシーンを観ていると、二人の関係性が良い方向に修復できればなあ、と願ってしまった、心に沁み入る作品である。>

<深く愛し合って夫婦になった男女が別れるのは、相当難しいことなのだと(離婚率が高まる現代社会ではあるが)、私は思いたい。>

コメントする (コメント数 0 件)
共感した! (共感した人 4 件)
NOBU
「マリッジ・ストーリー」のレビューを書く 「マリッジ・ストーリー」のレビュー一覧へ(全26件)
「マリッジ・ストーリー」の作品トップへ