劇場公開日 2019年10月25日

「死体とおしゃべりしたい」死体語り KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5死体とおしゃべりしたい

2019年10月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

性悪妻の逆恨み大暴走!
しっかりできないステニオは大困惑!

「死者」ではなく、本当に「死体」と話す能力なのね。
死亡時の傷と解剖の跡でボロボロになった肉体のまま、お目々キョロキョロお口パクパクして喋る死体達のインパクトが好き。めちゃくちゃフィジカル。
遺体安置所という舞台ならではの様々な死体が見られるのも嬉しかった。
画力の強さはピカイチ。

死体の声に耳を傾きながら働くステニオ。
その特殊能力をバンバン活かして何かするわけでもなく、うだつの上がらない雰囲気が全身から出ていて、この後に起こる不吉を示唆しているようだった。
家では愛する妻に疎まれ行きつけのバーでも疎まれ、日々のフラストレーションがチクチクと身を刺してくる。

ダイナマイトボディに厚化粧の妻が本当に性格悪くてイライラした。
なんでこんな女に執着できるのか…。
子供なんてどうでも良いと言わんばかりの態度と、色に狂った様子が気持ち悪い。

しかしその憎悪と憤怒のパワーは絶大。
パワータイプの恐怖現象攻撃がどんどん起こって楽しかった。
もう何がしたいのか何を望んでいるのか、よく分からなかったけれど。
とにかくステニオを苦しめたい!の一心でめちゃくちゃやってくる嫌がらせ感よ。
地味に引きずる怖さがあって、家でシャワー浴びる時ちょっとビクビクしてしまった。

せっかく面白い能力の設定があるのに案外普通のオカルトホラーに収まってしまったのは少し残念。
だいぶ引っ張ったわりにラストも弱く、尻すぼみ感は否めない。
序盤はかなりワクワクしたんだけどな。

子育てと結婚についての難しさを実感するホラーだった。
好き合って一緒になったはずなのに、どうしてこうなってしまうのか。子供にとっての正しさとは何なのか。何が一番幸せなのか。
ひたすらに二人の子供がかわいそうだった。

ララの言葉を聞き取った人の見せ方がたまらなく好き。
ホルマリン漬けのシーンも好き。

KinA