劇場公開日 2019年10月18日

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「インドのスラム街にラップがほとばしる瞬間に心奪われる」ガリーボーイ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0インドのスラム街にラップがほとばしる瞬間に心奪われる

2019年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

インド映画にはダンスと壮大な物語とメロディアスな歌唱がつきものと、判で押したみたいにそう理解していた。本作もある意味で同様なのだが、質感や温度は従来のイメージとまるで違う。これほど観る者の心を惹きつけて離さないのは、他でもない「ラップ・ミュージック」という題材が極上の化学変化を巻き起こすからだ。スラム街で育った青年の口からふとこぼれ落ちるビートとライム。その瞬間、彼はこれまで諦め続けてきたあらゆる物事に立ち向かう闘士となる。

本作は掘り下げ方も秀逸だ。当地になぜこの音楽が芽吹き、革命を巻きおこすのかという文化的、社会的背景はもちろん、家族や恋人との関係性、そして何よりも高みを目指したいとする主人公の感情を情熱的に描きつくそうとする。その点に感動し、感心し、好奇心を刺激されまくる2時間半。「8mile」「ストレイト・アウタ・コンプトン」という米産ヒップホップ映画とも併せて楽しみたいところ。

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牛津厚信