劇場公開日 2019年11月1日

  • 予告編を見る

「全然面白くない」キューブリックに魅せられた男 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5全然面白くない

2019年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

キューブリック映画の内実について、監督の右腕だった人物のレオンが、いろいろと具体的に語ってくれる作品かと期待して観に行った。

詳しいファンなら、マニアックな“小話”を楽しめるのかもしれない。
しかし、キューブリックの代表作は一通り観ている、という程度の自分には、期待に反して、全然面白くなかった。
例えば「フルメタル・ジャケット」の軍曹のキャスティングの経緯なんて聞かされたところで、何か面白いのか? そんなことは、ただの蘊蓄であって、映画の本質とは関係ないことだ。

レオン自身の口から直接出てくるのは、単なる思い出話のレベルだ。監督の右腕ならではの、制作“秘話”には乏しかった。
キューブリックが亡くなる直前になって、ようやく初めて出会った時のような、優しい態度で接してもらったと語るレオン。逆に言えば、人に言えない愛憎半ばする思いを、キューブリックに対して抱えていたはずである。
あるいは、編集室で死にたいと語るレオン。なぜレオンしか、キューブリック映画のきちんとした監修ができないのか。
例えば、そんなところにフォーカスすれば、マニアックな“小話”の羅列よりも、ずっと面白かったはず。

見方を変えれば本作品は、キューブリックは自分で何でもやってしまって、スタッフには“唯々諾々”と尽くしてくれる、“ワーカー”タイプだけが必要だったということを示唆するのかもしれない。
いずれにしても、「魅せられた男」と題して、レオンを前面に出しているが、レオンで映画1本作れるような状態ではない。
企画として無理があるように思う。

Imperator