「あいをこんなにも美しくこんなにもイヤらしく・・」燃ゆる女の肖像 mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
あいをこんなにも美しくこんなにもイヤらしく・・
この作品の登場人物たちの間に湧き上がる感情を「愛」と書いてしまうと違うものになる。またエロティックなシーンもあるが、それもエロティックと言う程ドライでなくポップでもない。それは多少の湿り気を伴う纏わりつくような気配である。言葉にすると少し違うような気はするが、やはり「いやらしい」という言葉が最もフィットする。あとこの映画の卑怯な点はフランス映画である点だ。フランス語と言うのはそれだけで十分芸術的で音楽的である。視覚的な芸術性と聴覚に届く芸術性を兼ね備えたこの作品は非常に高潔でかつ美しく尊厳を以って毅然とそこに佇む。中でもモデルと画家と侍女が揃ったシーンはとても絵画的で息をのむ美しさがある。こうしてみるとこの映画を鑑賞すると言う事はまるで自分たちが美術館の名画を愛でながら回遊してるかのような錯覚に陥る。そんな不思議で美しく充足感に包まれる映画であるのだ。
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