劇場公開日 2020年1月10日

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「韓国映画史上最大の傑作」パラサイト 半地下の家族 Popoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0韓国映画史上最大の傑作

2020年8月11日
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鑑賞方法:VOD

【ストーリー】
最初から最後まで楽しめるエンターテインメントとして完成されている。
サスペンス、コメディ、ホラーの全ての要素が絶妙なバランスで構成されており、申し分の無いストーリーである。
しかも、そこには韓国の学歴社会、格差社会への痛烈なメッセージと皮肉が込められており、鑑賞後に何とも言えない余韻を観客に与える。
富裕層の鈍感、悪意の無い侮辱。貧困層の無計画、無気力。などあらゆる層にメッセージを送っており、社会性も高い。
韓国映画の金字塔といっても過言ではない作品である。

【映像】
本映画を鑑賞し、カットの美しさに驚愕した。
エドワードホッパーの様な単純化された構図と色彩、大胆な明度対比に計算し尽くした役者の配置など、大判で印刷して額に入れるとそのまま写真作品として美術館に展示出来そうな程、美しい。
ポン・ジュノは若かりし頃、漫画を制作しており、今でも絵コンテはかなり緻密に書かれているらしい。
まさに各映像が「コマ」なのである。
半地下の部屋や富豪の家は全てセットで監督の指示の元で製作された。
まさに全てが計算された、完ぺきな映像。つまりはアートなのである。

【音楽】
本映画はストーリや映像美はよく評価されているが、音楽にスポットライトが当たっていない。
音楽監督を務めたチョンジョイルに注目しないのはあまりにももったいない。
坂本龍一も絶賛する天才である。
バッハなどのバロック調の音楽が、ある種滑稽な主人公たちの裏で流れる事によって、
どこか安っぽく、何故か緊張感が漂う雰囲気を形成されている。

オープニングの半地下の映像と共にながれるピアノのリフレインも秀逸だ。
便所コオロギが這う、臭気漂う半地下の部屋で流れる美しい旋律。
まさに本映画音楽の素晴らしさを表す1シーンであると言える。

【総評】
アカデミー賞とカンヌをダブル受賞した本作品。
見事としか言いようが無い。傑作である。

Popo