劇場公開日 2019年4月27日

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「ビル・エヴァンスの生きた時代を追って、その時々の出来事・思い出を、...」ビル・エヴァンス タイム・リメンバード ウマノホネさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ビル・エヴァンスの生きた時代を追って、その時々の出来事・思い出を、...

2019年5月19日
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鑑賞方法:映画館

ビル・エヴァンスの生きた時代を追って、その時々の出来事・思い出を、
彼を知る人物、あるいは彼自身によって語られます。

私がそれまでに知っていたビル・エヴァンスといえば、
『ワルツ・フォー・デビイ』のアルバムのみ。
ライブ録音で、アルバムのタイトルともなっているこの曲は、
客席のざわつきや、食器やグラスの音、
そして何より、ピアノ・ドラム・ベースの響きの美しさに、
どこまでも奥深く聴き入ってしまいます。

彼の代表作とも言えるこのアルバムですが、
それしか知らないような私にとっても、
作中に出てくるようなジャズ演奏者、曲、歴史を知らなくても、
(もちろん、知っていた方がより楽しめるのでしょうが)
彼を語る人物から、彼がいかに偉大で尊敬されていたのかが伝わり、
また、劇中に流れる彼のピアノがなんと美しいものかを、映像を通して聴き感じることができました。

一方で、彼の性格・生活が、波瀾(メンバーとの死別、親愛な兄の自殺、薬物依存など)
を含んだものであったことも知りました。

ただ、それこそが、
彼=(イコール)彼の音楽
たらしめているということをこの映画は教えてくれます。

演奏による自己表現と、その対(あるいは前提)となる自己探求、という、
ジャズに限らず、芸術家として最も目指すべき姿をどこまでも追求し、
また、体現してみせた彼の姿に、感動せずにはいられませんでした。

ウマノホネ