劇場公開日 2019年12月6日

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「承認欲求の現代性と佐久間由衣の挑戦」“隠れビッチ”やってました。 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5承認欲求の現代性と佐久間由衣の挑戦

2019年12月7日
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笑える

楽しい

主人公は共感を得づらい女性像だが、ソーシャルメディアでリア充アピールや“映え写真”投稿でいいねの数を競い合う昨今の人間関係のありようを象徴する。彼女ほど極端ではないにせよ、恋愛面でも人付き合いの面でも、ほめられたい、好かれたいと思うのは自然な欲求だし、それをより多く求めてしまう、ある種の依存状態になるのも理解できる。だが娯楽にせよ嗜好品にせよ適量が肝心で、過度に依存すると自分を壊す。恋愛も同じ。

佐久間由衣は本作が映画初主演。「ひよっこ」で初めて知ったが、資質に恵まれた女優だと思う。女性からも男性からも嫌われそうなひろみ役をよく受けたと感心するし、鼻をほじったりする露悪的な演出にも応えて熱演している。ただ今作ではその資質を活かし切れていない。洋画ならかつてのジョディ・フォスターや最近のジェシカ・チャスティンが演じてきたような強い女性像が似合いそう。精進して好機をつかんでほしいと願う。

高森 郁哉