ドクター・スリープのレビュー・感想・評価
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続編かぁ、、
あの可愛かったダニー少年もすっかりやさぐれてしまってて驚いたが、生気を吸う悪役の存在が現れたり、超能力レベルの女の子が現れたり、ん?続編なの?ジャンル違うような?と思ったが思いのほかこれが面白くて。
悪役のみなさんがまた不気味で、少年を捕食するシーンはかなりきつかった。でもわりと個性ありそうなメンバーだったけど中盤わりとあっさりとやられてびっくりしたなー
あんたらそれで死ぬのかい!
後半のホテルに行くシーンは緊張感とワクワクドキドキでシャイニングファンからしたら鳥肌物でした!
子供の頃ホラー映画好きで何回も見てたのでダニーと同じようにここに戻ってきたって感情移入。
結末はなんとなく予想できてしまったが長い時間を感じさせないくらい楽しめてしまった。
しかしジャックニコルソンのそっくりさん、贔屓目に見ても雰囲気だなあ
最後のほうは駆け足なのがちょっとマイナスかな?
シャイニング見てる人前提でほぼ満点だけどシャイニング好きじゃなければ星3くらいだと思う。
ちょっと早まったな‼︎
シャイニングは両方とも観たが今作に関して全く予備知識無しで鑑賞。
いったいどちらのシャイニングの続編としているのか楽しみでしたが原作者が失敗作だと認めていない方に寄せるとは…あかんやろ。
itの様にちゃんとやり直したら変に見た目の似た微妙なそっくりさんなんて呼ばなくて済んだのに。とにかく、前作のシャイニングとはうまく切り離していい距離感を保ちながらいい感じで進行していったが、最初のママさんそっくりさんはまだ許せるとしてジャックニコルソンの物真似が出てきて一気に興醒め。何とか楽しもうしたがうーん厳しいな。
ホラーアクションとしたらよく出来てる。
スティーブンキングがやり直したシャイニングを知らなかったら楽しめたかも。
ずっと眠たかった……
映画シャイニングは最近復習で観ましたが、原作は前作今作ともに未読です。
映画シャイニングの続編として観るにはあまりにも作風が違いすぎる。原作準拠なのはきっと本作の方なんでしょうが……いっそシャイニングを原作寄りでリブートしてからドクタースリープを制作すればよかったのに。
もしくは完全にキューブリック風に振り切るかして欲しかったです。脚本相当頑張ったんだろうなという努力は見えましたが。
シャイニングのオマージュ部分では多少目が覚めましたが、超能力バトルとか興味がなくてずっと眠たかったです。展開としては謎があるわけでもなく斬新でもなく王道だし、サスペンスにもホラーにもゾンビにもなりきれず中途半端な感じ。あと長い。
キング寄りの出来
一作目となるキューブリック監督の「シャイニング」の雰囲気をやや残しつつ、キングが描く世界観を、うまく映像化した作品だったと思います。
話は入ってきづらいが映像のインパクトや恐怖演出に優れていた前作とは、真逆の作品に仕上がっていた感じでした。とはいえ、面白くなかったわけではない。でも、やはりインパクトが……と、変に評価で悩んでしまうところがあります。
「続編」としては充分に良い出来だったと思います。
こうして悩まされるのも、ひとえにキューブリックのせいとしか言いようがありません。
違う怖さ
シャイニングの続編ってことですけど、違った怖さですね。
シャイニングは内面からじわじわ来る怖さで、ドクタースリープはごく一般的なホラー映画かなと。でも恐怖シーンが続くわけではないのでホラーが苦手な僕でも楽しませてもらいました
150分とちょっと長いですが、あんまり長さは感じませんでした。前半は、淡々と物語が進むのですが、中盤から大きく動いてラストまでグイグイ引き込まれます。
原作知らないんですが、敵はバンパイヤなんですかね?結構あっさり倒せるところが少し拍子抜けでした。
ラストでアブラとゾンビが入った部屋はどういうことなのかわからなかった。どういうことなんでしょ?
最後にユアン・マクレガーがオビ・ワンみたいだな~とニヤニヤしてしまったのは僕だけでしょうか?
このセットまたイチから作ったの?!すげえ!
CMを見た時はてっきりキューブリック版の映像をそのまま使っていると思いました。まさか当時のホテルのセットを忠実に再現したなんて。しかも前作の登場人物とそっくりな役者に演じさせる所など「この監督本気だぜ」と思いました。顔を加工するより安上がりなのかもしれませんが。あと尺が152分もあるのですね。そんなに長く感じませんでした。
…と言うことは面白かったのかなあ。セリフもキューブリック版よりずっと親切でわかりやすいです。でも結局のところ寂しい話ですね。ダンがアルコールの依存症になったのはお酒を飲めばシャイニングに鈍感になれるからだと思います。シャイニングを持ち合わせているばかりにみんな不幸になっていてやりきれないです。ラストはハローランのように次世代のシャイニングのために死ぬなんて。これからも命尽きる人の安らかな眠りに寄り添ってあげて欲しかった。
小説版では味方がほとんど死なないのに映画では結構亡くなってます。何度も繰り返し見たいとは思わないので星3にします。
キング節を持ち込んでの映画『シャイニング』の続編
1980年の米国コロラド山中にそびえるオーヴァールック・ホテルで起こった惨劇。
生き残った少年ダニーは、母親とともにフロリダで暮らしていた。
黒人ディック・ハロラン(カール・ランブリー)の霊から、「あのホテルのものどものことは頭の箱の中に入れて封印しておけばいい」と助言を受けていた。
それから40年・・・
中年になったダニー(ユアン・マクレガー)はアルコール依存症に苦しみ、また、時折現れる「シャイニング(特殊能力)」がみせる光景にも苦しんでいた・・・
といったところからはじまる物語で、映画『シャイニング』の40年後という設定を活かしている。
映画の続編として成立させ、かつ、小説『ドクター・スリープ』の映画化として成立させるのは、かなり困難、至難の業。
小説『ドクター・スリープ』は未読だが、『シャイニング』の方は小説も映画も幾度か読み、観ている。
『シャイニング』は、小説ではオーヴァールック・ホテルは壊滅しているが、映画版では残ったまま、そこに棲んでいる亡霊たちも遺されたまま。
この違いをどう吸収するのか。
そして、映画版ではあまり描かれなかったダニーの特殊能力「シャイニング」が、どれほどのものなのか、ということにも興味がわきます。
それを、今回の映画『ドクター・スリープ』ではそこいらあたりを充分満足できるところにまで持ってきている。
監督・脚本・編集をこなしたマイク・フラナガンが、小説も映画版も大いに敬愛していることの証だろう。
映画版と同じ構図や編集を挿入し、さらに映画版になかったスペクタクルシーンまで混ぜていますから。
さて、映画『ドクター・スリープ』では、少年少女連続失踪事件の背後に、スーパーナチュラルな集団が居、それを大いなる「シャイニング」を持つ黒人少女アブラ(カイリー・カラン)が察知し、どうにかして阻止したいという、正邪の対決の物語がメインストリーム。
黒人少女アブラを助ける役回りで、中年になったダニーが絡んでくるわけだが、「Ka(運命)」はふたりの関係を、幼いダニーとハロランとの関係をなぞろうとする・・・
また、スーパーナチュラルな集団は、人間の精気(生命の源)を食らい、永年生き続けている人種で、「シャイニング」を持つ人間の精気の効力が最も強い・・・という設定になっており、欧米の吸血鬼物語に通ずるところがあり、同じキング作品『セイラムズ・ロット(呪われた町)』を思い出せる。
で、このキング節ともいえる本質的なチープでベタな設定は映画にすると、本当にチープで安っぽくなってしまうことが多く、そこいらあたりが映画化の際の超難関なのだが、本作ではうまくいっているように思いました。
特に、首魁ローズ・ザ・ハットを演じるレベッカ・ファーガソンが魅力たっぷりなのです。
が、ここいらは映画版『シャイニング』を評価しているひとにとっては、???な感じかもしれません。
ということで、スタンリー・キューブリック監督があえて割愛したキング節を持ち込んでの映画『シャイニング』の続編、かなり成功の部類だと感じました。
面白かったです。
良くも悪くも古いホラー映画の続編
和ホラーみたいに ホラ怖がれ!って演出は少ないので純粋に物語を楽しむことができた。
途中 織り込まれた伏線もしっかりと回収されてたし…
ただし、やはり前作を観ていた方が良い作品なのも確か。
それに…成長したダニーがユアン・マクレガーなので
もうフォース使っちゃえよ!って思う事もしばしば♪
『シャイニング』からの一つの物語として楽しむ事ができました。
40年前の映画「シャイニング」はスティーブン・キングというよりスタンリー・キューブリックの作品になっちゃってますから、今回の『ドクター・スリープ』はそのギャップが明確に出ざるを得なく、そこが前作ファンからすると… なのかもしれませんが、
映画史に残る名作、キューブリックの『シャイニング』をそう簡単に上回る作品は出来るもんじゃありませんよ!
そんな気持ちで観たので、これはこれでかなり面白かったです。
最近のサイキックシリーズ物と比べられてますが、戦う動機、その周りの友情や親子の絆、も手を抜かず描かれている所に前作のリスペクトを感じ、一つの物語として楽しむ事ができました、欲を言うとレベッカ・ファーガソン率いる適役が薄っぺらく役不足でした。
改めてキューブリックの『シャイニング』の偉大さを痛感しました。
超絶面白い!
今週も余り観るものないと、あきらめていましたが、なんとなく惹かれて鑑賞しました。ホラーは苦手ですが、最後まで緊迫して楽しめました。シャイニングと言うのは、 不老長寿のエキスでした。
最初はかなり判りにくかったけど、アブラとダニーの関係と、半不死一族の立ち位置が判ってからはもの凄く面白くなりました。ホラーですから、血が飛び散ります。気が弱い私は目を瞑ります(笑)。
最後にはアブラが生き残り、ダニーと一族は散ってしまいます。
ハッピーエンドじゃないのですね。これがホラーの真骨頂なんでしょうか?
私的にはキリスト教は基本的に死後はないから、死ぬことを恐れると言うのがこの物語の前提だなと思いました。だから、死にたくないから、生気を吸って長生きしたがるわけです。
一族が死ぬ時のあの凄まじい執着は現世にしか幸せがないと言っているような気がします。
しかし、最後には、それらの現世執着を覆すかのように、ダニーはアブラの所に現れ、命は永遠に続くということを暗示します。あたかも長生きしたい一族の執着が如何に馬鹿げているか、そしてダニーの思考が一点突破したような気がしました。
魅力的な映画でした。
箱の中味はナンですか~
「シャイニング」から40年後、爆走三輪車ボーイのダニーが大人になり、彼の頭の中に話しかけてくる少女が現れると共に。邪に力を使うヤツらと対峙する話。
能力という意味でのシャイニングを持った、人間の生気を吸うことによって不老長寿を得ているローズ率いる集団が、ある少年を襲い、それを能力でみていた少女がダニー=ダンに助けを求めるストーリー。
長年生きてきたローズも驚く高い能力と賢さを持つアブラと、能力を隠して大人になり生きてきたダンが共闘していく展開はスリリングで見応えがあるし、続編という意味では、基本ダンの能力と経験のみを引き継いでいる感じではあるけれど、「シャイニング」では特に能力を使う様なところなかったしw一応件の展望ホテルも絡めてきて、ストーリーもとても面白かった。
原作を知らない自分としては、個人的に「シャイニング」はお化け屋敷と精神崩壊ではあるけれど、何を言いたいのかどういうことか良くわからず大して面白い印象はなかった。
今作はホラーではあるけれど、怖がらせる様なつくりではなくて、超能力による謎解きと懲悪的な感じが強く、ダークファンタジーという印象な上に「シャイニング」の補完と説明も果たしている様に感じた。
エスパー対決?
シャイニングは見ていないが、本編見れば続編仕込みなのはわかる。内容的には同士を得た主人公の新たな敵との闘いという感じ。
ただ、ホラーというにはインパクトはないに等しい。エクトプラズムを我先にと飲み尽くそうとするトゥルーノットのメンバーも、端から見るとやはりいい大人が何してんのって感じにしか見えなく興醒め。ましてや大女優のレベッカがという感じ。それにエクトプラズムをステンレスボトルで保存してるのというチープさ。
唯一冒頭の少女が餌食になるシーンで、トゥルーノットのメンバーが増えながら迫り来るところは不気味感はあるかな。
ホラー分類を仮に超常系とすると、もはやこの手のホラーでは見る側の恐怖心をあぶり出すのは困難。
世の中に霊媒師はいるらしいので、エスパー対決としてみると面白いかも。
ユアンとレベッカの大物共演に一点かな。
全体的にちょっと長いね。シャイニングを見てみようとは思いました。
あのテーマ曲が劇場で!
行けなそうだったんですが、都合がついて観に行けました!『シャイニング』の時に生まれてなかった僕としてはあのテーマ曲を劇場で聴けたのが感動でした! ウェンディ役の女優さん、声と話し方が1作目の女優さんとそっくりでした(笑) 編集で声を変えてるのかと思いましたが、ジャックの声は違ったので違うか(笑) 「盛会じゃね」のセリフがまた出てくるとは(笑)
完結そして継承
シャイニングは観ていない。
だから、だいぶ前から流れていた予告編を観ても、それほど心は動かなかった。
だが、1週間ほど前、NHKBSでシャイニングを「字幕」で放送してくれた。
俄然興味が湧き、今回映画館に足を運んだ。
NHKには大いに感謝したい。
ITは続編に大いに落胆したが、これはこちらの方が良かった。
ホラーというよりは悪との戦いと感じた。
怖さはほとんど感じられず、少女の強さや勇気に爽快さを感じた。
そして、件のホテルと決着をつけ、毒を以て毒を制すラストも、
途中からかなり予想がつくとはいえ納得の完結。
若干の喪失感はあったが、あるべき姿に各々が継承されたのだと思う。
キャストの中では、レベッカ・ファーガソンが圧倒的な存在感だった。
彼女があってこその主人公2人だったが、カイリー・カランも光っていた。
彼女がヒロインでの続編も観たいような気がする。
大いに堪能した。
ほぼ満点に近いのだが、
前半ちょっと停滞感があったのとゾンビ臭がするところで-0.5とした。
サイキック・ウォーズ映画として
キューブリック監督作「シャイニング」の続編だと知らんでも楽しめるし、最初の設定だけで、あんまり関係ないんじゃないの?と思いつつ観ていたら、終盤で名シーンが出てきて、あぁ!となります。
シャイニングを観たのは20年以上前なので記憶もおぼろげだし、原作も未読ですが、スリラー&サイキックものとして十分に楽しめました。映画シャイニングが大好きな方にとっては評価が分かれるかもしれませんが。
上映時間も後で知ったのですが、152分間という長丁場もまったく気にならなかったし、悪役を演じたレベッカ・ファーガソン(最近のミッション・インポッシブルに出演)が最高!
映画の日に
12月1日で、映画の日。
いつも平日なのに日曜だったから、昼間っから1000円のチャンス。
家族だといつも20時以降のレイトショーで1300円だったのが、去年からカミさんと2人で夫婦50割引が適用され1200円になって、ますます映画が身近になった。
それで、近所のイオンで40年後のシャイニングを観てきました。
当時子供だったわたしが前作を映画館で見たときの衝撃と、まったく関係ない内容の仕上がりになってて、それはそれで面白かったけど、オチが気に入らない。
仕方ないのもわかってるよ。
原作スティーブンキングはこっちの方がお墨付きなんだから。
だけど、おいらは原作どうでもよくて、監督だったキューブリックの大ファンだからなぁ。
でも、別物の映画と割り切って、1000円で大音響の迫力あるスクリーンで観れたのはよかった!
HELL☺
ジャック・ニコルソンがCGで蘇る!なんて噂もあったりしましたが、酒のジャック・ダニエル繋がりで、どうしてもジャック・ブラックに見えてしょうがなかった。そんなスティーヴン・キングとスタンリー・キューブリックの両者をも納得させた見事な脚本で完結を試みたマイク・フラナガン偉い!これならば『シャイニング』ファンも納得の出来と言えましょう。
今回は寝落ちしなかったはずですが、いつの間にドクターになったの?という疑問がずっと残ってしまいました。たしかにダニーはミニチュアの街で世話になったブルース・グリーンウッド医師が経営するホスピスで働いてはいたのですが、8年過ぎたときにいきなり医師になったのか・・・とも考えたのですが、TVや人形で「どったのセンセー?」でお馴染みの『ルーニー・テューンズ』のキャラであるバッグス・バニーが登場していたので、ここからDOCと呼ばれるようになったのだと推測できます(真相は知りません)。
ホスピスに関しては、先日観た『人生をしまう時間』(2019、日本)と被るところがあり、人生を終える患者の部屋へ猫が入っていくというエピソードがとても良かったです。誰も看取ることが出来ないなんて孤独死と同じ。死をも克服したダニーに知らせるなんてニクい演出でした。
どこまで原作に忠実なのかはさっぱりわかりませんが、黒板を通してアブラと交信するのも素敵です。一方、悪役の吸血鬼みたいな存在のレベッカ・ファーガソン演ずるローズが空を飛ぶ(意識が)シーンもファンタジーで良かった。頭の中に入った!などとわけのわからない頭対決なんてのもいい。
やっぱり生気を吸い長生きする集団の存在がいい味だしていました。不死ではなく長生きなんだよ!って、簡単に物理攻撃で死んでしまうし、肉体そのものは弱いのです。さらにホテルそのものが生命体だったとか、いろんな要素を詰め込みながら、懐かしさと怖さで脳内攻撃してくる作品でもありました。
個人的にはレベタンのローズやスネークバイト・アンディが好みでしたが、次回作『アブラが油まみれの大冒険』でお会いしましょう♪(あるわけない)
氷から炎へ
アメリカンホラーの金字塔的傑作『シャイニング』、その続編『ドクター・スリープ』が映画化!
原作は言わずと知れたホラー作家スティーヴン・キング。監督は『オキュラス/怨霊鏡』等で注目され、キング原作の『ジェラルドのゲーム』も見事に映像化してみせたマイク・フラナガン。
なお、今回のレビューは映画のネタバレもですが、原作版『シャイニング』『ドクター・スリープ』両方のネタバレも含まれますので、そちらを読まれる予定の方はご注意ください。
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『シャイニング』と同じホテルを舞台にしたホラーを期待されていた方は面食らったかもだが、原作『ドクター・スリープ』の内容と同じく、本作は限定空間を舞台としたホラーではない。
ダニー/アブラ/“真結族”の三者の視点から描かれるホラー色の強いサスペンス作である。映画版『シャイニング』では描写が薄目だった超能力=“シャイニング”を前面に打ち出し、その能力者同士のぶつかり合いが描かれる。
そうは言っても『X-MEN』のようなド派手バトルや『スキャナーズ』のような念力で殴り合うような闘いが行われるわけではない。相手の意識への潜入を主体にした戦術対決の様相。
アブラの仕掛ける罠やダニー/アブラの意識交換などの戦術はどれも原作準拠だが、意識内での闘いや“図書館”などの映像説明困難に思える内容もフラナガン監督はビシッとビジュアライズ。さらにこれらがキューブリックよりもダイナミック&トリッキーな映像で描かれると、無茶苦茶スリリングで面白い!
“監視塔”からローズがアブラの元を訪れる場面等での重力超越カメラワーク、互いの意識も数百キロ離れた空間も自在に飛び越えるカットバックの巧みさにゾクゾク。いよいよ展望ホテルへ舞台を移す前の空撮再現&重厚なスコアにはニヤニヤが止まらない!
終盤のホテルでの決戦は原作とは異なるが、頭に閉じ込めたホテルの怪異を全開放するという恐るべき切り札にカタルシスを覚えた。
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しかし一番心に響いたのはやはり、ダニーの成長譚。
死してなおダニーを案じ続けるハローランとの師弟関係や、心に傷を負った息子をどうにか守ろうとし続けた母ウェンディの姿に、開巻早々泣きそうに。
やがてアルコールに溺れた彼が、死の恐怖に脅える人々に安らかな眠りを与える“ドクター・スリープ”として再起していく流れも好き。「あんたはいるべき所にいるんだ」と諭されるシーンや、その不思議な力を活かして善い思い出の中で病人を逝かせる優しさに涙(あとアズリールにゃん可愛い)。
最後にダニーは恐れ続けた父と対峙し、自分を誘惑し取り込もうとする“ホテル”にも打ち克ち、かつて父が成し得なかったこと――家族を守ること――を成し遂げる。
全てを浄化する炎の中で、安らかに微笑み合う母と幼いダニー。あの場面でやっと母と子は、あのホテルの恐怖から解放されたのかもしれない。
...
ここから原作との比較中心で書くが――色々と不満点もあるものの、正直、監督の大胆な試みには恐れ入った。
そもそも『シャイニング』映画版は原作版から相当な改変が加えられており(例えば原作版ではホテルは焼失してしまうので『ドクター・スリープ』原作に展望ホテルは登場しない)、原作者キングは映画版を「温かみがなく冷たい」と長年に渡って批判しているのだが、監督は映画版/原作版の両者をこの『ドクター・スリープ』で巧みに融合させているのだ。
映画版『シャイニング』は、孤独と怪異でジャックが狂気に陥ったという印象がかなり強い。プラス、映画の最後に登場する集合写真やジャックの「ずっとここを知っていた気がする」という発言からも、『ジャックは前世でホテルの支配人もしくはそれに近いポジションで、そのためホテルに再び取り込まれた』=『ホテルの目的はジャックだった』という解釈ができる。
一方、原作版は、その土地に渦巻く死や悪意の集合体である邪悪な“ホテル”そのものがジャックに憑依する展開。“ホテル”の目的はジャックではなく、極めて強い生気を持つダニー少年を取り込むこと。その為に懐柔し易いジャックを利用する、という展開だった訳だ。
実は本作は、冒頭のハローランとの会話で、映画版『シャイニング』の物語を“ジャックの狂気”から“ホテルの悪意”という原作の形にシフトさせているのである。
更に、本作の終盤には仰天! 展望ホテルが登場することは予告編でも謳っていたが、原作ファンの方ならボイラー室が登場する場面で「マジか! それやっちゃうのか!」と興奮したんじゃなかろうか? 僕は興奮しました。めっちゃ興奮しました。
ボイラー室をオーバーロードさせてホテルを“火で浄化”する展開、そして“ホテル”に憑依されたダニーがアブラを襲い、すんでの所で意思を取り戻す展開は『シャイニング』原作終盤をそのまま踏襲したものなのだ。
つまるところ今回の『ドクター・スリープ』は、キューブリック版『シャイニング』の強烈なビジョンと音楽等の演出に敬意を払いつつ、『ドクター・スリープ』原作でのダニーとアブラの絆を原作版のジャックとダニーの絆に置き換えることで、最終的にスティーヴン・キング版『シャイニング』の決着に回帰させるという物凄くアクロバティックな試みをやってのけているのである。
...
だがやっぱり、原作には登場しない展望ホテルを話に組み込むのは難しい部分もあったようで、そこが今回の主な不満点。
まず、“真結族”はもう少し強力な存在として描いてほしかったなあ、と。
特に原作のクライマックスはローズ・ザ・ハットを含む“真結族”複数人との対決になるので、アブラとダニーだけでは分が悪い展開だったのだが、映画版はローズのみが相手だ。いくら彼女が狡猾で、残りの生気でブートアップしていても、やはりアブラ&ダニーには敵わないと思えてしまい、展望ホテルを利用する根拠が薄弱に感じてしまったのが残念。原作通り複数人でやってきて、一気にホテルの怪異に襲わせるような感じの方が良かったんじゃないかなあ。
クライマックスまでは良かったのだが(原作よりも仲間も容赦なく死ぬ)、むしろ終盤の展望ホテル内が静謐なキューブリック版準拠になってしまったせいで、そこまで感じていたオリジナリティが薄れたのが残念。だがそこはキューブリックへのリスペクトとして致し方無しという気もするし、あのホテルを再び大スクリーンで見られるというだけでもやっぱりニヤニヤしてはしまう。まあ、ホテルの看板幽霊たちがアベンジャーズばりにアッセンブル(嫌過ぎるアッセンブル)して見栄を張るのはちょっとパロディ色が出てしまった気もするけど――。
それと、映画ではセリフにしか登場しなかったアブラの祖母だが、原作では彼女がダニーの“切り札”となる。その展開に自分は鳥肌立ったので、彼女が登場しなかったのもちょっと残念。しかしそこも“箱”を切り札にするという冴えた転換で補われている感じではある。
だが一番悲しかったのは……ダニーの最後。
原作では、ダニーは生還する。そしてアブラと交流を続け、同時に“ドクター・スリープ”として贖罪と救済を続けていくという結末だ。原作『シャイニング』の続編としては『ドクター・スリープ』は薄味と感じたものの、それでも僕はダニーの成長とこれからの希望が見られて嬉しかったんである。
だが映画版はダニーが父ジャックの罪を贖うという形で決着してしまう。いずれダニーの意志をアブラが継いでいくのだろうとは思うけれども……タイトル通りの“ドクター・スリープ”としてダニーには生きていて欲しかったなあ……。
...
しかしながら、良かったです。いや、本当ここまでの作品になるとは予想していなかった。
やや無理を感じたとはいえ展望ホテルを再訪できたのは嬉しかったし、キューブリック版を意識しつつも攻めまくった映像表現、そして原作を見事にビジュアライズした超能力者同士の闘いはムチャクチャ楽しめました。
そしてキング自身も語っていた通り、映画版『シャイニング』が“氷”なら本作は“炎”。キング原作らしい、人の体温を感じさせるドラマになっていた点は何より嬉しい点。大満足の4.0判定で。
<2019/11/30鑑賞>
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余談:
レベッカ・ファーガソンが最高。原作から抜け出したかのような妖艶さと狡猾さ!
Well, Hi there…
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