劇場公開日 2019年10月4日

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ジョーカーのレビュー・感想・評価

全1119件中、41~60件目を表示

4.0理解はするが共感はしない、これは幸せなんだと思う

2022年6月13日
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泣ける

悲しい

怖い

一般人化したジョーカーを主役に、腐敗した社会と貧困問題を取り上げた社会風刺映画。社会風刺は基本興味ないが、ジョーカーというキャラが好き、名作感にあふれる予告にホアキンが主演は趣味外でも大いに惹きつけられる要素だったので劇場鑑賞、結果アメコミ特有の派手アクションは無いものの見応えとカタルシスに溢れる名作であった。

本作を傑作と評するのも頷ける、全体的に陰鬱で何度も通して見るのは精神的にキツイが後半のジョーカー完堕ち後の階段下りは、作中屈指の気分爽快シーン。この階段は主人公の帰路で何度か見るが、堕ちる前は辛そうに上っていくのに対し、堕ちた後は一転してノリノリで明るい曲をバックに、煙草をくゆらせながら心底楽しそうに踊り下っていく。悪堕ちのはずが、まるで祝福してるように見える演出は最高に皮肉が効いていた。

もっとも堕ちる布石と降りかかる不幸の数々をこれでもかと見せられた所にこの描写は『今が楽しくて仕方ないんだろうな・・・』と納得しかない。それはグラディエーターの腹立たしいクズ皇帝を演じきったホアキンの技量も大いに貢献している思う。
痛ましい痩躯に病気で起こる苦しそうな笑い、懸命に母の世話をするいじらしさ、徐々に精神を蝕んで生まれる狂気、衝撃の事実を知り全てに絶望し咽び泣く姿、終盤の本心からの笑いとコメディ的逃走劇・・・ジョーカーを熱演し急逝したヒース・レジャーの件も含め、最後までよく演じれたなと恐怖を覚えるほど鬼気迫る演技だった。

加えて話の構成も社会問題を提唱しつつ、現実と幻覚が混ざり合った出来事を伏線にしラストで従来のジョーカーらしさを含ませた締めくくりには成程ねぇ!と唸らされた。このオチは虚言癖のキャラだからこそ相乗効果を生んだが、普通は禁じ手に近い。この起用キャラの特性とジャンルの混ぜ合わせの巧さにもじわじわと感心してしまう。

所で本作を観て共感した人が多い事に驚かされた。同じ状況に陥ったらと想像すると彼の選択も仕方ないと理解はするが、共感するほど社会や人に不満を感じた事はない。これ自体は幸せだと思うが、もし少数の考えなら今の社会はかなり危ういのかと少々不安を覚える…ゴッサムシティな日本は勘弁してほしい、まず生きていく自信は無い。

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木神

3.0そろそろ日本でも暴動が起きそう

2022年6月12日
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鑑賞方法:VOD

見たかった映画。重苦しい音楽が不気味で辛かった。最後写真の裏のメッセージは結局お母さんの言ってた事が正しかったのか。でももう母も殺してしまった後。畳み掛ける不幸は人間の精神を蝕む。お上ばかり良い思いをしてるこの今の日本でもピエロ暴動が起きてもおかしくない。いや、そのくらいしないと世の中は変わらないかもしれない。最後のピエロの仮装に囲まれ上手く逃げるシーンなんかワクワクした。 他の人のレビューが難しく理解できなかった。

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映画苦手な人

4.5ジョーカー、バットマン、ゴッサムシティ

2022年6月12日
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鑑賞方法:映画館

とても良かったです。感想が難しい映画ですが、とりあえずジョーカー、背徳の街ゴッサム・シティ、バットマンの生い立ちは分かりました笑。
貧困、偏見、差別が狂気の悪役ジョーカーを創造する。そしてゴッサム・シティは炎上する。DCコミックの世界観の枠内だから面白いって作りで、たぶんリアルな世界観で見ると単なるサイコパスみたいになっちゃってモラル的に許せないキャラになっちゃう。ネガティブな評価をする人はそこに引っかかっちゃうんじゃないのかな。いいですか?ゴッサムシティの話なんですよ?わかってますか?だったらそれはそれでいいけど、DCの架空の世界だから、と思うと私には「許せ方(ジョーカーへのシンパシー)」が違うんです。うーん。結構奥深い映画だなあ。

どうでもいい英語のうんちくを言わせてもらうと、最初の方でジョークを書き溜めたノートに出てくる「I hope my death makes more cents than my life.」(字幕は「勝ちを生む」と「価値を生む」の駄洒落にしてたかな。苦しいけど頑張ったね)はmake cents(金を稼ぐ) とmake sense(意味がある)の駄洒落なんです。senseのネイティブの発音はセンツみたいになるからほぼ同じ発音なんですね。senseの’nse’の部分はnの発音で舌が歯の裏にくっつくのでsの音がツみたいに破裂する。onceがワンツ、princeがプリンツみたいな発音になるのと同様。

ホアキン・フェニックスは名優ですが「これが代表作!」ってのがなかった気がします。これからはJOKERが代表作になりますね!ピンチョン好きの私には「インヒアレントヴァイス」が断然代表作なんですが、映画自体あまり知ってる人がいません( ノД`)シクシク…

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arlecchino

3.0ホアキン抜きにこの映画は成立しない

2022年5月25日
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鑑賞方法:映画館

もしもの話だが、バットマンなど存在せずに、ただの一人の狂人を見つめ続ける映画があったとしたら、面白いだろうか?精神に疾患を抱え、仕事に支障をきたし、家族を失い、やがて社会に牙をむいていく。

過去にそんな映画をいくつか見た気もするが、ここでは取り上げない。

何と言っても、この映画で見るべきはホアキン・フェニックスの、その狂気じみた演技だろう。おそらく、映画賞を総なめにするほどに魅力的だ。われらがダークナイトが彼と対峙したときに互角に渡り合えるか、今から心配だ。

しかし、考えてみれば不思議ではある。

ジョーカーは、いかにしてジョーカーになったか?それを一本の映画にまとめたというのに、彼は我々の前に姿を現すや否や、消え去ろうとしている。彼は今から重罪人として裁きを受け、一生刑務所を出られないはずだ。ゴッサムシティの闇の世界にどうやって君臨するのか、今のところその特殊能力はかけらも現れていない。

いわば、この映画は、我々がよく知っている人物を掘り下げ、強大な悪の道に染まっていくほんのさわりの部分だけを描いた物語に過ぎない。その描き方は巧妙で、強い刺激を伴う。

ここからは想像に過ぎないが、映画会社としてはこの映画の出来栄えに満足しているとは思えない。きっと魅力的な「敵」(この場合「正義の味方」とも言う)が登場しないゆえに、娯楽性に欠けるからだ。その、悪と正義の迫力のバトルを描き出すことに、映画本来のダイナミズムを発揮すべきであって、残念ながらこの映画にはそれがない。

独立した一つの作品としてみたら、欠陥があるとしか言えない。R指定にするまでもなく、映画館には、いい年したオッチャンのサブカル好きが押し寄せたにとどまり、若い女性の姿はかけらもない。そんな空間が居心地よかったりもするが、一部のマニアに喜ばれるカルト作品にしておくには惜しいほどに、パワフルで印象深い。

もうひとつ。蛇足に過ぎないが、興味深い現象として、ここ数年のトレンドに、『イット/それが見えたら終わり』で描かれた、ピエロあるいはクラウン恐怖症。それから、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が挑戦した、あえて懐古主義的に今じゃない時代をふりかえる手法が、この映画でも取り上げられた。この2作と本作の類似点は非常に多い。そしてもちろん、ノーラン作品の『ダークナイト』抜きに、この映画は語れない。

ジャック・ニコルソン。ヒース・レジャー。そして、一瞬で強い印象を残したジャレッド・レト。いずれも魅力的だが、現時点でホアキンにまさるジョーカーはいない。そんなことを考えさせられた映画だった。

2019.10.7

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うそつきカモメ

5.0ホアキンの演技力

2022年5月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

ホアキンフェニックス主演の最新作カモン•カモンを最近観たけど、とても同一人物がこのジョーカーを演じているとは思えない。
ヒースのジョーカーがあれだけ凄かったから相当プレッシャーもあったであろうに、全く引けをとらない、また違ったジョーカーをみせてくれた。
次は誰がジョーカーを演じるのか楽しみだけど、相当ハードル上がってるよね。。

生きることに苦しんでいるアーサーの姿は心をえぐられるようだった。この作品ではアーサーがいかにしてジョーカーになったのか、単なる悪としては捉えられないジョーカーがみえてくる。

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Ran

4.0さすがのオスカー候補

2022年4月4日
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スーパーヒーローもので初めて作品賞候補になったらしいけど、確かにバットマンのことを何も知らない人が観たら、一級の人間ドラマです。
スリラーは希薄ですが非常にドラマチックでサスペンスフルですので、脚本よりも演出が際立ってます。映像の調子と構図のセンスが抜群。
主演賞も納得の超絶演技力ですね。

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越後屋

4.0タイトルなし

2022年3月19日
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鑑賞方法:VOD

qf

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lgsflights2005mg

4.0ジョーカーの悪の本質に迫る衝撃作

2022年3月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

予想を遥かに超えた凄い作品だった。アメコミヒーロー・バットマンの悪役として有名なジョーカーの誕生秘話を、一切の虚飾を排除した容赦ない描写で綴っていく。悪役の誕生秘話を描いた作品は多いが、そういう作品とは全く異質な衝撃作である。

主人公・アーサー(ホアキン・フェニックス)はゴッサムシティで年老いた母と暮らす、孤独で優しい青年だった。彼は、笑顔で人を楽しませなさいという母の言葉に従って、ピエロとして生計を支え、コメディアンを目指して必死に生きていた。しかし、それでも貧困から抜け出せず、彼の心は次第に荒んでいく・・・。

全編、心地良い気分になることはないが、衝撃的な展開に画面から目を離すことはできない。格差社会、貧困、差別、社会への不満など、現代社会にも当てはまる負の要素を背負って、主人公は生きている。それでもなお、前向きに生きようとするが、度重なる理不尽な出来事が、主人公を次第に追い詰めていく。生きる選択肢を一つまた一つと消していく。

主人公役のホアキン・フェニックスが、時に体全体を使った激しい演技で、時に表情だけの繊細な演技で、変幻自在に主人公の心情を演じ切っている。非常に難しい役どころを見事に熟している。

本作で象徴的なのが、階段のシーンである。前半、主人公は、家路に着くために、肩を落としながらも黙々と階段を上っていく。その先に善なる未来があることを信じて。終盤、今度は、その階段を軽やかなステップを踏みながら下りていく。受難の果てにどう生きていくかを定めた姿に開放感が溢れている。

主人公のジョーカーへの変貌を肯定はできないが、否定することもできない。主人公は悪を自ら選んだわけではない。悪にしか生きる選択肢がなかったのである。生きるために悪に辿り着いただけである。それ程に、主人公の受難は、壮絶であり救いがない。

本作は、受難の果てに悪に辿り着いた男の壮絶な半生を通して、悪の本質に迫る問題作である。

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みかずき

2.522003

2022年3月13日
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鑑賞方法:VOD

THE BATMANを観る前に、と鑑賞。
狂気の誕生。

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たかたかたか

5.0凄い........

2022年3月6日
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鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

観る前は下らない映画だと思ってた。
しかし、良い意味で思いっきり裏切られました。
とにかくホアキンの演技が凄い。
映画を観て鳥肌がたったのは何時以来かなと。
それプラスとても考えさせられるし、ある意味共感もしました。

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M・太朗

5.0まさに狂気の傑作!

2022年3月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

如何にして悪魔の「ジョーカー」が誕生したのかというストーリー。
あまりにも強烈で、ショッキングで、恐ろしさを秘めた映画で、2019年公開の中では最高傑作との声も多い作品です。

「本当の恐怖は、笑いの中にある……」

人間が壊れていく様が まざまざと映し出され、同時にこれは世界中の誰にでも起こりえる事だという恐怖感に身震いをします。
(((; ゚д゚)))

ダークナイトのジョーカーが素晴らし過ぎた為、今回演じたホアキン・フェニックスは相当のプレッシャーだったようですが、見事な演技によりアカデミー賞の主演男優賞を獲得!
作品も世界中で数々の賞を受賞✨

「必ず観なくてはならない、歴史に残る1作」とまで言われる程になりました。

ダークナイトのシリーズを観てからがベストではありますが、観ていなくてもこの映画だけでサスペンススリラーとして十分に楽しめます。

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びぃあぃじぃ

4.0現代の日本を誇張したような映画

2022年2月14日
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鑑賞方法:VOD

貧困や障害に苦しんだ1人の男が悪のカリスマになるまでのサクセスストーリー。

これも十分評価されつくされた作品だけど、狂気を含みながらも実は弱者にかなり寄り添ってくれてるのでは…?と思わず錯覚してしまう様な、前回のダークナイトのヒースレジャーが演じたジョーカーとは全く別物の新たなジョーカーの物語。

今作のジョーカーを演じたホアキン•フェニックスが、スタンドバイミーでクリス役を演じたリバー•フェニックスの実弟だったと言う点もかなり衝撃的でした。

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SAMURAI JAPAN

4.0昔から何も良くなってない?

2022年2月5日
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タクシードライバーをアマプラで昨年観た時に「今の社会問題を扱ってるようだ」と思ったが、一年後にjokerを観て「やっぱり何も解決できぬままなんだな」と再認識させられた感じ

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TORAJIRO777

3.5「愛」

2022年1月26日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

怖い

難しい

ホアキンフェニックス様

狂気に満ちた寂しい悲しい殺人鬼のお話。

愛に飢えた男の最後はこうなってしまうのかもしれないと考えさせられる作品。

ひとつも笑うところはない、が、なにかを考えて感じてくれという映画。

やはりあの笑いながら 踊りながら 階段を降りるシーンは鳥肌がたつ

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幕張豊砂の弟

5.0山小屋ダンス

2022年1月22日
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山小屋ダンス
ジョーカー中毒の方に朗報です。
Netflixマンハントがおすすめです。
なぜジョーカーが生まれたのか
というテーマで作られたのが映画ジョーカー
ですが、マンハントも同一のテーマで作られたかのようでした。
ジョーカーがファンタジーならマンハントはリアルベースですね。
なぜか音楽も似てます!
映画ジョーカーで最も優れている要素は音楽だ、というのは言い過ぎですかね。
ユナボマージョーカーの山小屋ダンスが見れます。ジョーカー、パクったか?
ユナボマジョーカー後半にならないと出てきませんが。普通に面白いドラマです。実話ですね。
既出の意見でしたらごめんなさい。

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ぽえむ

0.5バッドマン好きじゃない方は観なくても。不快で後味悪し

2022年1月15日
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映画館では見れなかったので、プライムで鑑賞。
最低最悪な退廃した空気は延々と、最後まで続きます。

悪役の誕生するまでというテーマだから仕方ないのかもしれないけど、
長い時間、不快な気分が残るだけの映画でした。

最初で合わないと思ったのが最後まで続く映画はそうそうない。

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Nana

4.5ついに一線を超えた傑作‼️

2022年1月6日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

怖い

MCUに太刀打ち出来ないと悟ったDC。
「我々は我々の出来ることをやろう」
トッド・フィリップス監督が提示した方向性は
まさに現代社会を映し出す禁断の領域である!
悲劇であり喜劇でもある、そんなジョーカーの生き様は
ここから誕生したのだ‼️

極論だが、現代社会において本当に必要なのは
バットマンではなくジョーカーなのかもしれない…。

IMAX2D作品。

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ヒックス伍長

4.0見応えあり

2022年1月1日
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評判通りとても面白かった。
まったくバットマンもジョーカーも知らなかったのですが、迫真の演技に飲み込まれました。
心苦しい感じ。

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もひょもひょ

4.0模倣犯が出て残念

2021年11月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

模倣犯が出たから見たわけではないが、こういう映画の作り手というのは当然、自己表現の中に現実の抑止効果があることを願っているだろう。
この映画を見て、影響を受けて犯行に至ったというのは、非常に残念なことだ。
この映画を見て疑似体験して、やってはいけないことと思ってくれる人が増えることで、社会貢献になる。
テレビでは放送しないことになったらしいが、短絡的、事なかれ主義、そんなことならば、かえってそれが犯罪抑止の一つをつぶすことにはならなければいいが。

映画自体は、ドキドキする展開で怖いもの見たさを満足させる内容でした。

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かずじー

5.0BLM暴動が拡大する米国二極分化社会の比喩

2021年11月27日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

手塚治虫や石森章太郎をはじめとする豪華な漫画作品に囲まれて育った子供にとって、スーパーマン、バットマンなどのアメコミ・ドラマは退屈極まりなかった。数十年を経てもこの感想はまったく変わらず、それらが成人向けの映画にリメイクされても、はっきり言って軽蔑しか感じなかったのである。

で、今回はそのお仲間「ジョーカー」である。こんなもの見るのはバカだけだと思っていたのだが、せっかく衛星放送で流れるのだからちょっと見ておくかwと見始めたら、それが大いなる勘違いだとすぐにわかった。
枠組みはあの愚かしい「バットマン」だが、ジョーカーなる精神を病む男が健常者の社会から虐げられる不当さと、二極分化された社会で爪弾きされる貧困層の怒りが共振していくさまは、現在のBLM運動が暴動を起こすヒステリックな米国社会の見事な比喩になっているではないか。まさに換骨奪胎を絵に描いたような、脱アメコミのリアルで重厚な作品といえる。

惜しむらくはジョーカーが最後にショー番組司会者を確信をもって射殺してしまうことで、「あっちの=アメコミの」世界に行ってしまい、何らの悲劇性もなくなってしまうことだろうか。彼が語る悲劇と喜劇の意味がいま一つ不明だが、小生には人間の悲劇を考察するのをやめた、アメコミ的軽薄さに聞こえた。
バットマンの父親を誰か別の人間が射殺したように、ジョーカーは司会者を死亡させたと勘違いされた挙句、米国最大の悪人に祭り上げられていくという展開なら、さらに深みのある人間ドラマになったと思うのだ。

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徒然草枕