劇場公開日 2019年9月27日

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「ヤクザな世界とカタギの世界」任侠学園 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ヤクザな世界とカタギの世界

2020年4月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

寅さんも歌ってます。

どうせ オイラは ヤクザな兄貴

『反社会的勢力』とか『暴力団』とは別の意味での〝ヤクザな人たちの世界〟

昭和の任侠映画に出てくる男気のあるやくざとか寅さんの世界に出てくるテキ屋のような人たち。実際にどのくらいいたのか、ほとんどは映画世界の虚構の存在なのか、確かなことは何も分かりません。
ただ、カタギの世界の人間(寅さんいうところの〝労働者諸君〟、つまり、世間的にまともと言われている仕事でコツコツと稼いでいる人たちの世界の人間)にはなれない、いわゆるはみ出し者で、そんなはみ出し者であるという自覚のある人たちが、広い意味で〝ヤクザな世界の人たち〟と呼ばれていた、或いは、自分たちでそう定義していたように思います。

その頃に、どうしても〝労働者諸君〟の一員になれずに、はみ出さざるを得なくなった人たちにとって〝ヤクザ〟の世界が受け皿になっていたとしたら?
カタギの人たちとは違うこの世界で生きていくことができたのだとしたら?
ヤクザな世界(いわゆる暴力団の構成員に限らずカタギの世界では生き辛い人たちの社会)とカタギの世界が社会の中で棲み分けができることによって、ある程度の平和が保たれていたのかもしれません。今は暴対法の徹底などにより、反社会的勢力の絶対数は減少してるようですが、オレオレ詐欺や悪質商法のような実態の掴めないはみ出し者の世界が拡散して、棲み分けどころか見分けもつきません。そして、はみ出し者であるヤクザがカタギの人たちに迷惑をかけちゃいけません、などというヤクザ側の倫理観があったのだとしても今や絶滅、もしくは絶滅危惧種なのだと思います。

・カタギの人には手を出しません
・クスリは絶対に扱いません
・銃刀法違反もしません
・悪徳なカタギの不正を糾した時には、少しだけ利権の一部か報酬をいただきます

そんな夢のようなヤクザだったら、我が街にもいて欲しいです。

グレシャムの法則
グレシャムの法則さんのコメント
2020年4月18日

レビューを書いてたら思い出したのが、筒井康隆さん原作の『わたしのグランパ』。石原さとみさんのデビュー作で、菅原文太さん演じるグランパがとても素敵でした。この作品で西島秀俊さんが演じた日村ならあんなお爺さんになりそう🤠

グレシャムの法則